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■2008年6月1日号 <vol.107>
書評 ─────────────

・書評  前川 彬 『ゴルフで老いる人、若返る人』  齋藤真嗣著
・書評 横山 彬 『ゲーテ「イタリア紀行」を旅する』牧野宣彦著
 
【私の一言】岡本弘昭『メタボリック症候群への対応』


2008年6月1日 VOL.107


『ゴルフで老いる人、若返る人』
著者齋藤真嗣    出版社:サンマーク出版
    

前川 彬  

 著者は、日、米、欧のアンチエイジングの認定医で、ゴルフはシングル・プレーヤー という。そして、正しいやり方さえ知れば、ゴルフはきわめて健康的でアンチエイジングにもつながるすばらしいスポーツとなる、と主張する。

 アマチュアゴルファーは、とかく、前夜に酒を飲む、睡眠の質が悪い、朝食をしっかり摂らない、準備運動をしない、カートに乗る、飛ばすゴルフにこだわるなどのために、背骨や腰を痛め、足腰が弱り、脳もうまく働かなくなるゴルフをしている。それでは「ゴルフで老いる人」になってしまう。そうではなく、体に無理な負担をかけず生理学的に理にかなったプレーをして、安定したショット(再現性の高いショット)が打てるようになり、結果としてスコアアップにつなげる「ゴルフで若返る人」を目指してほしいと言う。 著者は、「ゴルフで若返る人」になる方法として、次の3点を挙げる。
1. 成長ホルモンを分泌しやすい生活をすること。そのために、30分程度歩く、入浴時に30分程度湯船につかるなどして1日1回体温を1度上げるようにする。
2. 骨を若返らせるために、カルシウムを摂取するとともに太陽を浴びてビタミンDを活性化させる。
3. 背骨を軸とした無理のない回転運動(スイング)をして、腰痛にならないようにする。それは、「でんでん太鼓」と同じ原理で、飛距離にこだわらず7割のスイングをして、腰に負担がかからない「インサイドアウト」のスイングを目指す。

 このほか、脳の老化を防ぐために「考えるゴルファー」になることや体のリフレッシュを説く「エイジング・マネジメントのすすめ」の項目もあり、ゴルフ愛好家にとってたいへん面白く参考になる。そして最後に、”「健康」とは、単にからだに異常がないことではなく、もっと精神的に満たされている状態のこと”であり、また、”人生に変わらず大切なもの、それは「長く楽しむ」ということ”であり、「百歳までできるゴルフ」を目指そうという言葉で締めている。アンチ・エイジングの立場からは、まさに至言である。

 


『ゲーテ「イタリア紀行」を旅する』
著者牧野宣彦    出版社:集英社新書ヴィジュアル版
    

横山 彬  

 40年ほど前にイタリアを旅し、イタリアに惚れ、それ以来、イタリアの「虜」となった。その頃、塩野七生女史が中央公論に処女作『ルネサンスの女たち』を発表しており、その彼女が描写した魅力的なイタリアルネサンスの世界の影響もあった。イタリアの諸都市は魅惑的で、歴史や文化、藝術に関心を持つ者を魅了する。
 それゆえ、古来、イタリアに憧れた芸術家は多い。そのなかでも、ゲーテが一番有名かもしれない。ゲーテは、1786年9月3日の朝3時に、こっそりとカールスバートを発ってイタリアへ向かった。そして、憧れ夢に見た「都」ローマに到着した時の感動(!)を次のように書いている。「この数年間それ(イタリアを訪れたい気持ち)は一種の病気のようなものとなり、それを癒すことのできるのは、この地を実際に眺め、この地に身を置くこと以外にはなかった」と。
 この1年9ヶ月にわたるイタリアの旅を綴ったのが、ゲーテの『イタリア紀行』である。かつてゲーテが旅した町々を『イタリア紀行』の通り、何時の日にか旅してみたいという思いに私もとらわれてきた。それは、ワイマールを起点としてイタリアを車でゆったりと旅し、訪れた街々の写真と印象記を交えた本を出せたらという夢でもある。
 で、ある朝の新聞で、この本の広告を見て、すぐに買ってきて一気呵成に読了した。世の中にはイタリアに惚れ、ゲーテの『イタリア紀行』を愛する同好の士はいるものだ、同じようなことを考える人はいるものだ、と感じた。いや、今までこのような本が出されなかった方がおかしいのである。この著者は、イタリア在住10年、ゲーテが訪れた町々は総て訪れているという貴重な経験を持って、『イタリア紀行』という素晴らしい素材を見事に料理している。ゲーテの旅路に沿って、街々や芸術作品などの多数の写真を入れ、読みやすく楽しい本に仕上げている。しかも、ゲーテが賞賛した芸術作品などで、現在イタリアにない作品についても、今どうなっているのかを書いているのには、感激する。この本で、教えられ得るところは大きい。素人の私が、「してやられ」、そして「負けた」のは当然だ。一過の旅行者では、此処まではとうてい書けないと思い知らされたのである。しかし、これを読んで、『イタリア紀行』の魅力をさらに感じ、これも参考にしてゲーテの跡を辿ろうという夢はより熱く膨らんだのである。
 ただ、せっかくの好企画の本、新書版であるのが残念だ。新潮社の「とんぼの本」のような大判で、上下2巻くらいで出せば写真がもっと活きたものになったと惜しまれる。ともあれ、イタリアが好きな人、イタリアに関心がある人、イタリアに行こうという人には勿論、ゲーテの『イタリア紀行』を読んだ(読もうという)人にもお奨めだ。
 蛇足だが、著者が、ゲーテの『イタリア紀行』は岩波文庫(上中下)の相良守峯訳よりも高木久雄訳(『ゲーテ全集』第11巻(潮出版社)収録)の方が読みやすく良い、と言っているので、直ぐにこれも購入。本当に後者は読みやすい好訳だ。この500頁余の『イタリア紀行』が気に入り、冥土への旅路に持っていくため、もう1冊買ってしまった。

 

 

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『メタボリック症候群への対応』
岡本 弘昭

 最近、かかりつけの医者で腹囲を測られた。メタボリック症候群の診断基準に、ウエストサイズ計測ガあり、男性では85センチを超えたら「アウト」とされる。ウエストサイズが大きければ大きいほど、体脂肪、とりわけ内臓脂肪が多くなり、これが過度に蓄積されると、動脈硬化を防ぐ善玉の物質が減り、動脈硬化を進める悪玉の物質が増え、血圧、血糖値や血中コレステロール量が上昇する。結果として動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞、狭心症などに直結するというとのことである。
 私の場合、若干改善が必要で、「夕食については副食を食べ、米飯等の主食を抜くことを2カ月くらい続け、腹囲を2−3センチ減らすように」と診断された。いまさらという気もするが、長生きに伴う種々のリスクを回避する意味でも、医者の言に従うこととした。
 そのリスクの第一は、健康寿命である。日本人の場合、平均寿命は、男性77.9歳、女性84.8歳であるが、健康寿命では、男性71.4歳、女性75.8歳(WHO2002年)。つまり、病気や認知症などによる要介護期間が、男6.5年、女9.0年あることを示している。2006年の簡易生命表による日本人の平均寿命は、男性が79歳、女性が85,81歳とさらに長寿となったが、要介護期間が大幅に短縮したとは聞かない。しかもそれは平均期間であり、それ以上もあり得るのである。
 第二のリスクは家計である。老後の日常生活費は、夫婦2人で最低、月約23万円、ゆとりを持って生活するには月38,3万円(生命保険文化センター)といわれる。つまり、60歳の定年後20年間の費用は、前者で約5500万円、後者で約9200万円と算出される。これに介護費用等も必要となる。英国の場合は80歳代の認知症発症率は20%であり、患者一人当たりに要する費用は、年間600万円だそうである。(科学ニュースあらかると)
 第三は、日本の人口構成は、2005年では高齢者1人に対して現役世代3.3人であるが、2055年にはこれが1.3人という比率(高齢社会白書)になる。つまり、高齢者が「支えられる」時代は終わるという時代に生きているリスクである。 
 これらリスクの解決は、あらゆる点で自助努力をする以外、手はない。積極的なメタボリック症候群への対応も不可避と考える昨今である。






 過日、薬膳料理の話を聞く機会がありました。薬膳料理は、中医学理論に基づいて食材、中薬と組合せた料理であり、栄養、効果、色、香り、味、形などすべてが揃った食生活に関する学問ですが、本質は、体も心も運気も、陰陽2極のバランスが崩れたときに崩壊・病の方向に向かうことになるため、日常生活の食の中でバランスをとることにあるそうです。ただ、病気の予防には、精神のバランスがもっと必要で、毎日の出来事を”いいじゃないですか”と受け止め、腹を立てないことが薬効の前提だそうです。
 最近は、腹が立つことが多い時代ですが、その場合には”私の一言”にでもご寄稿いただき、発散していただきたいと思います。
今号も多様な書評のご寄稿有難う御座いました。
                              (HO)








 
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