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■2007年8月1日号 <vol.87>
書評 ─────────────


・書評 後藤田 紘二 『グーグル革命の衝撃』
・書評   横山  彬  『風の男 白洲次郎』

【私の一言】幸前 成隆  『聞き上手』

 

2007年8月1日 VOL.87


 

 

『グーグル革命の衝撃』
著者:NHK取材班(4名)    出版社:日本放送協会発行    

後藤田 紘二  

近頃のはやり言葉に“ググる”という言い回しがある。これは判らないことがあると、インターネット上で、検索エンジンのグーグルを用いて調べることから発しているようだ。
いまやインターネットの利用とグーグルあるいはヤフーなどを通じた情報検索機能の普及が我々の日常生活に欠かせぬ存在となっている。
パソコンを通じて世界のあらゆる情報をかき集め、その情報を必要とする利用者に、即座に無料で提供できるサービスを企業化した“グーグル”とは、いったいどのような会社で何を考え、今後どのような社会的影響をもたらすのか、大変興味のあるところである。
このほど、そんな疑問に答えようとする試みが、NHKの取材スタッフたちによっておこなわれ、本書として5月に執筆発行された。報道局今村経済部副部長、岡田ディレクター、芳野記者、鈴木報道局チーフプロデューサーら4人の制作スタッフによる共同執筆である。
巨大IT企業の創業のいきさつ、企業存立の基盤つくりの仕組みなどを、直接トップ以下へのインタヴューを試み、報道番組の組み立て手法で取りまとめられている。
検索エンジンの作動の仕方(グーグル内の企業秘密)によって、情報提供を受ける側のメリットが大幅に変わってくる事情がある。とくにインターネット上の広告によってビジネスの成否が決定づけられる立場の利用者には、情報の取り扱い方がどのように行われるか、常時気掛りなるところである。本書の内容は特定分野に偏った面もあるが興味深い話題が豊富である。
インターネットを通じての情報の取り扱い方をめぐる提供者の社会的責任やら、利用者の適切な判断力如何が、今後ますます大事な課題というか問題となるものと思われる。
執筆者等は、情報収集における日常生活の利便性の向上が、われわれの未来の生活を退化させることにはなりやしないかなど、いくつかの疑問を提起している。
メディアにかかわりのある人にとっては必読書である。。

 

『風の男 白洲次郎』 
著者:青柳 恵介    出版社:新潮社&新潮文庫

横山 彬  

 昨年、『白洲次郎 敗戦を背負った男』(北 康則著 講談社)が出版され、山本七平賞か何かを受賞しベストセラーになり、白洲次郎が一躍脚光を浴び、NHK TVでも、「その時歴史は動いた」かで放映された。本書は、それより10年ほど前に単行本で出版され、現在は「新潮文庫」にも収録されているが、そもそもは、「葬式無用 戒名不用」の白洲を偲んで私家本として出版されたものを公刊したものである。
この颯爽とした男の生涯を描いた『風の男』の方が、どちらかと言えば終戦前後に焦点を当てた『敗戦を背負った男』より滋味に富んでいると感じているが、如何なものだろうか。単行本で出た時も感動し、いろいろの人に薦めたが、これを書くため、再度、文庫本で読み、改めて感動した。
 神戸の富豪の息子に生まれた白洲は、中学生の時から“ペイジ・グレンブルック”を乗り回す環境にあったが、中学を卒業(大正8年)するとケンブリッジ大学のクレアーカレッジに入学し、9年間(17歳〜26歳)、英国で生活する。本人は、不良少年の島流しと言うが、「この9年の歳月の間に白洲次郎は白洲次郎になった」ようである。多感な年代での経験と研鑽が、その後の人格を形成するということであろう。それは、白洲には「プリンシプル」を重んじ、「一種独特の清潔感、そして潔癖さに裏打ちされた」“プリミティブな正義感”を持った人生哲学として結実した。まさに真のジェントルマンが作られたのである(白洲の学生生活で学んだのは、『自由と規律』(池田潔著 岩波新書)に書かれているようなものではなかったのかと想像した)。
 白洲の、男も惚れるような言動は、この本を読んでいただくとして、現下の政界・財界に彼のような哲学・精神を持ち、その信念に基づいて行動できる人間が如何ほど居るであろうか。国民のための政治をすべき国会議員のなかに、自分の利益や名誉を優先し汲々としたサモシイ人間が余りに多いのではないだろうか。国会議員のうち彼のような人間が3割でもいたら、日本ももっと真っ当な「美しい国」になるのではないかと感じた。

 
 
 
  

 

ご要望にお応えして、ジャンルを定めない自由評論コーナ ー【私の一言】を設けました。 評論の評論はもとより、社会評論等自由なご意見をお届けします。

『聞き上手』
幸前 成隆

松下幸之助氏は、人の話は心を込めて聞け。そうすれば、いい話が聞けると指摘している。
「人がいろいろな話をする。それを心込めてよく聞いてあげる。すると、話し相手は話し甲斐があって面白いと、ますます熱を入れて話をする。そのうちに、非常にいい話が飛び出す。そのいい話をキャッチしていくところに、聞き上手のプラスがある」
また、同氏は、次のようにも指摘されている。
「人の言うことに耳を傾けようとしないのは、自分で自分の心を貧困にするようなものである。」
「部下の言葉に耳を傾ける人のところでは、比較的よく人が育つ。」
聞き上手とは、相槌を打ち、身を乗り出し、褒めることをいう。同氏はこうも言っている。
「話をしている人の顔を見なさい。そして肯きなさい。なぜならば、肯くことによって、君の心にその人の話が入り、また、話をする人に励ましを与えることになるからだ。」
家庭でも学校でも、相手の話をよく聞く、聞き上手が求められている時代ではなかろうか。喜んで聞く努力をしたいものである。


∴∴∴∴《編集後記》∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴

今号に付きましても、ご多忙の中、貴重なご寄稿有難う御座いました。
所で、梅雨が明けたら暑い夏です。世界的に天候異変で、今夏も暑さが厳しいと思われます。皆様方に置かれましては十分注意してご活躍ください。
最近、財産がたまる10か条というのを見つけました。ご寄稿いただいた“聞き上手”ではありませんが、日常生活に参考になると思われますのでお届けします。
“財産がたまる10か条”
感謝の生活をしよう
収入以下で生活しよう
夫婦仲良く睦まじく
金や物を大切に
健康に注意する
独立自尊心を持とう
仕事を趣味にしよう
飽きっぽい心をすて一事を貫こう
いつも節約を心掛けよう
儲けをあてにするな

(H.O)








 
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