フォーチューン誌2006年4月17日号によると、米国のトップ10大企業およびその本社所在地は次のようである。
1位 エクソン モービル Irving(人口178千人/98年現在),テキサス州
2位 ウオルマート ストアーズ Bentonville(20千人),アーカンソ−州
3位 GM Detroit(970千人),ミシガン州
4位 シェブロン San Ramon(42千人),カリフォルニア州
5位 フォード Dearborn(92千人),ミシガン州
6位 コノコフィリップス Houston(1,787千人),テキサス州
7位 GE Fairfield(54千人),コネティカット州
8位 シティグループ New York,ニューヨーク州
9位 AIG インターナショナルグループ New York,ニューヨーク州
10位 IBM Amonk,ニューヨーク州
殆んどわれわれにもおなじみの大会社だが、直ぐに気が付くのは所在地が国内各地に散在していることである。どこかの大都市に集中しているわけではない。
ひるがえって日本の大企業をみると東京への集中が甚だしい。伝統のある関西の大企業でさえどんどん本社を東京に移したため関西経済の地盤沈下が嘆かれている。日本と米国ではどうしてこのような違いがあるのだろうか。
日本は政治や役所に近いことが企業の成長に役立つというのは大きな理由のひとつであるが、それだけのものでもない気がする。大事な取引先が東京に集中しているから便利であるということも言われるが、本社同士の接触だけで多くの取引が決まるものでもあるまい。
このことにはもっと深い国民の文化に問題の根源があるのではないか。
これだけのことならまだよいのだが、東京集中が地方を疲弊させ、また様々なひずみを生じて特に環境面生態面への悪影響が懸念される。もっと全国土を有効に活用しないのはかえって非効率というべきであろう。
日本でも江戸時代には政治の中心は江戸にあったが経済の中心は大阪で、また全国各藩にもそれぞれに相応の生活があったように見られる。文化的な面を見ても例えば中江藤樹(近江)、本居宣長(松阪)、広瀬淡窓(豊後日田)、浦上玉堂(備中)、良寛(越後)華岡青洲(和歌山)など著名な人物が全国に点在していた。
成長成長で世の中がなにか息苦しくなっていないだろうか。折しもほっとわれに返った高年層が増えつつあるのは良い機会だ。文化を変えねばならないと思う。
往時学校で習った漢詩の一節「帰りなんいざ、田園まさに蕪(あ)れなんとす。なんぞ帰らざる」が思い出される。
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