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■2007年7月1日号 <vol.85>
書評 ─────────────


・書評  板井 敬之 『山登りの本』など
・書評   亀山 国彦 『暗闘 スターリン、トルーマンと日本降伏』

【私の一言】岡田 桂典 『シンガポール便り』

 

2007年7月1日 VOL.85


 

 

『山登りの本』等 
出版社等末尾記載    

板井 敬之  

10年くらい前から「東京半日散歩」や「東京郊外半日散歩」を手引きにし
て、家内と一緒に首都圏の公園や名所を訪ね歩くようになった。「東京郊外
半日散歩」には、『青梅』や『奥多摩むかしみち』なども取り上げられてい
て、これに沿って歩くと、散歩というよりはハイキングということになる。
一昨年頃から「折角なので、もう少し本格的な山歩きをしてみようか」とな
って、「東京都の山」・「埼玉県の山」・「神奈川県の山」・「千葉県の山」
等をガイドブックに三頭山・陣馬山・関八州見晴台・秩父御嶽山・大山・石
垣山・烏場山・鋸山などに登った。これらの標高は1,000m前後、全て日帰
りを条件としているが、最近はこれに“日帰り温泉入浴”できるというのを
加えている。
JR東日本のホリディパスを使い、自宅最寄りの新八柱駅を起点&終点として
2,300円を交通費の“基本形”にしているが、山の立地によってはバス代等
でこれをオーバーすることもある。 文字通り“六十の手習い”なので、問題
は山の知識を全く持ち合わせていないことだが、これは「間違いだらけの山
登り」で俄か勉強中である。
山から帰ったあとは、シリーズで刊行されている「奥多摩散策絵図」・「秩
父奥多摩散策絵図」・「丹沢・大山散策絵図」等で、位置関係を調べて、そ
の日の余韻に浸るのを常としている。いずれは雲取山、甲武信岳、丹沢山等
にチャレンジすることを夢見ている。
◆文中で取り上げた書籍等一覧◆
書名         著者名      発行所    備考
東京半日散歩     山内佳夫ほか   新潮社    とんぼの本
東京郊外半日散歩   同上       同上     とんぼの本
東京都の山(千葉県・埼玉県・神奈川県の山)
          東京都山岳連盟  山と渓谷社  新・分県登山ガイド
           ほか
間違いだらけの山登り 岩崎元郎     PHP
秩父奥武蔵散策絵図  村松昭      アトリエ77
丹沢大山絵図     同上       聖岳社
奥多摩絵図      同上       同上

 

『暗闘 スターリン、トルーマンと日本降伏』 
著者:長谷川毅    出版社:中央公論新社

亀山 国彦  

長谷川氏は76年米国籍を取得した米国在住の歴史学者、カリフォルニア大歴
史学部教授。ロシア史、日ロ関係を専門。
著者は、米国、ソ連、日本、それぞれの公文書館所蔵の膨大な原史料に当た
り、「三国間の複雑な関係と国内政治力学との緊密な結びつきを中心にして
詳しく検討して国際的な観点から太平洋戦争は如何に終結されたかを描き
出」している。
トルーマンとスターリンとが戦後を睨らみ、自分たちに有利な終戦を冷徹に
追求する駆け引き;これまで表に出なかったソ連側の動きを丹念に追い、ス
ターリンが日露戦争で失った領土を取戻すため、米英との仲介を期待してい
る日本の動きを逆にとって時間を稼いで極東への兵力を移動させ、日本のポ
ツダム宣言受諾後に参戦命令を発したこと;日本国内の和平派と継戦派との
国体をめぐる角逐を三本の軸にまとめている。
加えて、いくつかの新しい見解を打ち出している。即ち、日本国内では戦争
終結の条件として「国体」変更の可否が最大の争点であったことに着目、ポ
ツダム宣言無条件受諾の「聖断」により天皇と皇室を国体の概念から切り離
す操作を行い、「現人神」から「人間天皇」へすでにこの段階で転換している
こと。ポツダム宣言は日本に対する最後通牒といわれているが、実際には、
原爆の使用を正当化するためのものであったこと。原爆が投下されたことよ
りもソ連参戦のショックが日本に無条件降伏受諾を決定させる上で決定的要
因となったこと。戦争は8月15日以降も続き、米国が駐留していなかった
千島をソ連が完全に占領する9月5日まで続いたこと等である。
本書を通じ、当時の政府や軍部の中枢は、国民のことよりも、国の面子、国
体の護持を中心に戦争終結を考えていた上、期待と現実を混同し、国際情勢
を読み誤ったことが、終戦時の被害を決定的に増幅させたと感じさせられた。
この点は現在の日本外交に通じることかもしれない。

 
 
 
  

 

ご要望にお応えして、ジャンルを定めない自由評論コーナ ー【私の一言】を設けました。 評論の評論はもとより、社会評論等自由なご意見をお届けします。

『シンガポール便り ;専門医ということ』
岡田 桂典

知人の3歳の子供が階段から落ちてまぶたの下を切ったので、最高級のME
病院へ連れて行きました。通常高級病院は私立で株式会社経営です。当直の
先生が“私でも縫えるけど,スペシャリストを呼びますか”というので是非
お願いしたいというと、夜の10時に先生がやってきて手当てしてくれまし
た。但し、8針縫って、一針が3万円についたそうです。
この国では公立の病院でも治療や入院はA、B、Cとクラスに別れ、値段が
違います。経験深く、熟練したお医者さんは高いのです。高い代わりにシス
テムは確りしています。スペシャリストは病院に自分のクリニックを開いて
います。患者を診て、手術が必要であれば病院のスタッフを借りて自分で執
刀し、後の世話も自分でやってくれて全責任を取ってくれます。手術をする
と、助手、看護婦等、手術室にいた全員の名前、処置について記されたカル
テルをメモリーカードで患者に渡してくれます。その後、痛みが再発した、
先生は外遊中、であっても、初めて診る医師がカードをコンピューターに差
し込めば必要な情報を容易に得られるわけです。
日本の国民は誰でも、どこでも健康保険証を出せば同じ支払いで治療を受け
られるというのは素晴らしい制度ですが、シンガポールの制度を知ると、日
本の医療は世にも不思議な存在だと不安になります。日常の生活を考えてく
ださい。衣食住、どんなものを買っても、どんなサービスを受けても質とサ
ービス内容で値段が違うのは当然です。値段が同じだというのは医療だけで
す。システムも問題です。旅先で手術跡が悪化しても、病院同士でカルテル
の交換は出来ないそうです。それに日本では大学病院で手術すると誰がやっ
たかわからない、病院も足りない医者を外部から呼んで手術し、後の手当て
は他の人がするような事例が通常だといわれます。それに医者の質ほどピン
キリのものはありません。医学部が増えて偏差値45点でも医者になれるの
だそうです。医者は学校の成績が良い人のほうが信頼できます。良く勉強し
必要な知識があり、手順を守り、集中力があるからこそ成績が良いのです。
成績が悪いのは試験を受けて、十分な基礎知識が足りない、問題解決の理解
不足、手順の悪さ、ミスが多いということです。
価格に差があり、良いものは高いのは当然でしょう。例えば手術はやればや
るほど上手くなるのだそうです。経験と実績で専門医の価値を評価し、報酬
に反映させるべきです。それによって医者の能力も高まるでしょう。
風邪だ、腰痛では医者には行きません。しかし、万一手術が必要となったら、
あの病院に行かなきゃ良かったといった話は山積みですから、一生の大事、
「家宝を売っても」、一流と評価され最後まで責任を取ってくれる専門医に
どんなに高くても診せたいと思います。そう思う方はシンガポールへ来てく
ださい。


∴∴∴∴《編集後記》∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴

ピンピンコロリを目指さなければ考えていたら、先日、コロリつまり転倒しました。
軽くではありますが、頭部を打撲したので、早速にも検査が必要と いうことで 専門病院を探し、行ってきました。打撲の場所が場所であり、名医に当たることを期待したものです。幸い良い医者に当たりましたが、そこまでは不安でありました。最近医者不足が問題視されることが多いように おもわれます。
その解決策の一つに市場原理の導入があると思われます。
岡 田さんのご寄稿をみて考えさせられることが多くありました。
皆さんご多忙中のところご寄稿有難う御座いました。(HO)








 
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