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■2010年8月15日号 <vol.160>

書評 ─────────────

・書評    福島和雄  『大相撲大変』  
             松田忠徳著(祥伝社新書)
                  
・書評    桜田薫   『なぜ人は市場に踊らされるのか』 
             竹中正治著(日本経済新聞社)

・【私の一言】 川井利久 『地球管理の必要性』





2010年8月15日 VOL.160


『大相撲大変』
( 松田忠徳著 祥伝社新書 )

福島 和雄    

現在相撲界は力士の「野球賭博」問題で大変な事態になっている。この本は4年前に刊行されたが、相撲界の現状と諸問題を先見的に論じている。
なお、 著者の松田忠徳氏は、東京外国大学大学院卒、モンゴル文学専攻、現在札幌国際大学教授で温泉と相撲に詳しい。

1. モンゴル力士はなぜ強いか

遊牧民族であるモンゴルの人々、移動式のゲル(住居)には水道などは無い。
川などの水場まで行って汲んでくるのが、子供たちの仕事である。羊などの家畜と遊んだり、広い平原を走ったりする。そんな暮らしの中で、自然と足腰が鍛えられていく。

2. 力士高学歴化の弊害

現在問題になっている琴光喜は日大卒、同じく野球賭博で名古屋場所出場停止になった雅山は明大卒など、幕内力士では今年の夏場所現在では大学卒または中退者が14人もいる。現在次の横綱に最も近いと言われている安馬はモンゴル出身で、15歳で来日し安治川部屋に入り、相撲の基本をじっくり身につけて大関に昇進した。日本人の大学卒は大学時代の実績により、原則として幕下の付け出しからスタートできる。著者はこの大学卒の特権を見直すべきだと言う。往年の名横綱貴乃花は中卒で、若乃花は高校中退で角界入りし、基本をしっかり身につけて大成した。現状では日本人の横綱は当分の間無理だ。

著者は結びで、大相撲を面白くなくしているのは、変わろうとしない日本相撲協会の時代遅れの体質であると結論している。今回の野球賭博問題で著者の先見の明の素晴らしさを感じた。このたびの賭博問題で、相撲協会は外部有識者も入った委員会が設置された。相撲協会の古い体質が改善されることを私は期待している。しかし相撲の良き伝統は残して欲しい。



『なぜ人は市場に踊らされるのか』 
(竹中正治著 日本経済新聞社)

桜田 薫   

今の不況下で多くの人が関心を持っているはずの経済問題について、本書は、私のような門外漢にとっては目から鱗の知識を与えてくれる。

頻発する資産バブルは、すべて個人や企業の利己心による行動が資産市場で強い同調性(不合理でも周りと同じ行動をとる)を生みだすことから発生し、そこに金融緩和と信用膨張等が加わって拡大するものだが、この表題の意味は読者に対して「皆さん、そうされていますよ」という呪縛から目をさまそうという呼び掛けである。その文脈で例えば以下のようなことが語られる。

米国の住宅バブル崩壊が引き金になって現在の世界不況を招いたわけだが、その結果、危機脱出のために世界各国で政府債務は急膨張した。現下の日本を見ても国家財政は深刻だが、その改善には増税か、年金や福祉などの給付削減あるいは将来のインフレによる借金負担軽減(インフレタックス)しかない。この現状打開に最も現実的なのは消費税で(反対を主張する学者は経済理論の初歩を理解していない)、その増税分を政府が直接消費または教育や技術開発につながる投資に回すことで経済は復活する(財政支出全体の増加も必要なことなど条件はあるが)。

増税分同額をそのまま各家庭に現金給付するのでは、その8割しか消費されないので効果は少ないが、政府が財やサービスを直接購入すれば(差額の2割について)5倍の乗数効果が働きGDPが増える。またインフレを引き起こすとして「無責任な奇策」とされている政府紙幣の発行も著者は支持する。現在は需要不足のデフレであり、30兆円と言われる需給ギャップが解消するまでインフレが起きるはずはないし、その兆候がでれば政府が引き締めに転ずればよい。これはチャレンジする心配なら発行を小出しにすればよいし、デフレは最悪で軽度のインフレのほうが望ましいことは学者の意見も一致している。

米国経済については「マネー資本主義の破綻」で経済成長は失速するという俗論は根拠に乏しく、米国の過剰消費社会という広く流布しているイメージもマクロで見ると誤っていると断じる。貯蓄率は資産価値の増加の反映に過ぎないのであって、持続的に住宅価格が(正確には純資産の所得倍率)下がると家計の貯蓄も増えている。ミクロでは低所得層の個人破産が多い現実があるが、米国は超富裕層が資産の大部分を所有している社会なのでマクロと乖離するわけである。以上は著者の本書の一部だけの紹介だけだが、全体は現在の世界経済危機に関連する多くのテーマをカバーしていて面白く読みやすい。

 

ご要望にお応えして、ジャンルを定めない自由評論コーナ ー【私の一言】を設けました。 評論の評論はもとより、社会評論等自由なご意見をお届けします。

『ヒトの耳はスゴい!』
風雅こまち

 サッカーのワールドカップに日本中が熱狂しましたね。初めてブブゼ
ラという楽器を耳にした方も多いのでは? 私も最初はうるさくてたま
りませんでしたが、慣れ親しむと気にならなくなりました。実はこれが
機械とは違うヒトの耳の素晴らしい機能です。大音量にはフィルターを
かけ、必要な音だけを注意深く聴く。森の中で暮らしていた頃、生き残
るために発達させた「聴覚」は人間を生まれながらの音楽愛好家にした
のです。生き残るために耳をすます必要が無くなった耳は新しい使い方
として、歌や様々な楽器の音色を楽しむようになったのです。

 最近の研究では胎児でも母国語や両親の声を聞き分けることがわかっ
ています。母国の言語や音楽への親しみは胎児の頃から育まれているの
です。情操教育とは親子の笑顔の中にある!そして「三つ子の魂百ま
で」と言われるように一生の財産になります。

 ところが大変!楽器を習う子供は減少の一途。うちの子は根気が無い
からと努力させない親が多い。根気が無いのはどっちでしょうか? 子
供達が歌を歌わないと悩む幼稚園。日本は子供を大事にする国と言われ
ていましたが、豊かな心を育てる環境は消えつつあります。「にらめっ
こ」「いないないバー」を知らない子供と遊べない親に代わって、音あ
そび教室が子供達の心を耕す時代が来るかもしれませんね。

 聴くということは音の刺激を通して自分の心を揺さぶる事!一人一人
のクリエーティブな活動です。すばらしい耳を活かしてステキな時間を
創りましょう。今年は久々に小学生に音楽指導をしています。豊かな子
供の時間は未来です。教え子たちは将来、自分の子供に子守唄を歌い、
遊べる大人になってくれることと信じています。

 

 

猛暑日とは、最高気温が35℃以上の日のことをいうそうですが、沖縄県を除く各都道府県で毎年のように観測されているそうです。ウイキペディアによると日本の記録は次のようです。
年間最多日数 - 45日 大分県日田市(1994年)
連続日数 - 22日 大分県日田市 (1994年7月3 - 24日)
最も遅い猛暑日 - 9月28日 富山県朝日町泊(1991年)
日最高気温 - 40.9℃ 埼玉県熊谷市、岐阜県多治見市(ともに2007年8月16日)
日最高気温の月平均 - 36.2℃ 岐阜県多治見市(1995年8月)
今年は、これらを書き換えるような猛暑日が続いておりますが、ご自愛専一にお過ごしください。

今号も多面的なご寄稿有難う御座いました。(HO)




 
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