■2009年6月1日号 <vol.131> 書評 ───────────── ・書評 浅川博道 『ロシア人しか知らない本当のロシア』 (井本沙織著 日経プレミアシリーズ) ・書評 堤 貞夫 『あの戦争から遠く離れて』 (城戸 久枝 情報センター出版局) ・【私の一言】佐々木菜穂子 『介護待機老人をゼロに』
2009年6月1日 VOL.131
『ロシア人しか知らない本当のロシア』 著者:井本沙織 出版社:日経プレミアシリーズ
『あの戦争から遠く離れて』 著者:城戸 久枝 出版社:情報センター出版局
群馬県渋川市で起きた老人施設の死亡事故を福祉立国を目指す契機に して欲しい。「おくり人」の映画でその優しさに誇りを感じた矢先の事 故。現代版姥捨て山のような現実を放置できない。そこで、待機児童ゼ ロを目指して文京区が取り組んだ公設民営の保育園の例など財政の厳し い自治体でも取り組める方法を考えたい。 勤務していた小学校の図書室部分に保育園建て替え期間の対策として 保育園が臨時に設置された。リフォームにより快適な子育て空間に変わ り、校庭の利用時間を分けるなどして共生する心が児童や職員に育って いった。その後、再度の手直しを経て民間運営による保育園がオープン した。 教育と福祉は行政上の垣根も多いが、関係者の努力が実った事例と感 じる。少子化問題と高齢化問題は切り離せない面が多い。空き教室や退 職教員等、活用可能な資産とスキルを持つ教育と福祉は手を結ぶ必要に 迫られている。施設空間の共有という問題解決のために住民が知恵を出 し合うことで「譲り合う心」や「分かち合う喜び」につなげることが、 地域の教育力という心の財産となるだろう。 心の壁を取り払うのは少しの勇気だ。保育園のお遊戯会に楽器を貸し てあげたご縁で、私は退職後も園の方々と声をかわしている。一区民と して私も子ども達の成長に関わっているという絆を感じる。 従来は行政が担っていた分野をNPOや民間団体が受け持ち、利用者の ニーズに対応していく社会的起業が注目されて久しい。私も5年前1円 株式の制度を活用して福祉や教育現場への音楽療法技術の提供を目的と する株式会社音あそび教室を始めた。現在は保育、学校、介護など様々 な職種の方々と交流している。 中でも熱心なのは介護施設のスタッフである。「私の勤める施設は恵 まれている方なのです。それでもスタッフは韓国や中国出身の方々の比 率が増え、言葉や文化の違いから不安を募らせる高齢者も多い。専門家 によるリハビリプログラムは不可欠なのですが、スタッフ研修費も計上 できません。先生の活動をお手伝いをしたいのですが、私は何をしたら 良いのですか?」このような現場の声に私も励まされている。情熱のあ る現場の声が制度に反映されることを願うばかりです。研修は福祉を高 度な日本の技術産業に発展できると確信している。
日経紙によると、2008年の書籍(雑誌を除く)の発行部数は13億1756万冊で前年度比増加傾向にあり、また、全国の公共図書館の貸出数は前年度比2.4%増の6億5656万冊だそうです。さらに、中古本の売上げも順調とか。 いずれにしろ、最近は書籍の活用者が増えているようであり、この観点から書評の重要度も高まってきているのではないでしょうか。 ご多忙の中 、大変有意義な書評、一言のご寄稿有難う御座いました。 (HO)
2005/03/01
2004/12/01