ヨーロッパで始まった大都会での若者のデモがアメリカでも起きている。
著者は数年前にこの動きを予想していた。
著者は民営化による国内難民と自由化による経済難民を論じている。アメ リカでは世界一高い医療費で破産する中間層、そして競争による効率主義
に追いつめられた医師,破綻していくアメリカの公的医療支援、その結果 株式会社化する病院になっている。そして崩壊する社会保障が高齢者と若
い人を苦しめている。民営化によってすべてが良くなるのは幻想である。
この著書は1、2編から成り立っている。
1の内容は
第1章 貧困が生み出す肥満国民
第2章 民営化による国内難民と自由化による経済難民
第3章 一度の病気で貧困層に転落する人々
第4章 出口をふさがれる若者たち
第5章 世界中のワーキングプアーが支える「民営化された戦争」
2の内容は
第1章 公教育が借金地獄に変わる
第2章 崩壊する社会保障が高齢者と若者を襲う
第3章 医療改革VS医産複合体
第4章 刑務所という名の巨大労働市場
から成り立っている。
「教育」「いのち」「暮らし」という、国民に責任を負うべき政府の主要業務 が「民営化」され、市場の論理でふり廻されるようになった時、果たしてそれ
が「国家」と呼べるのか?単にアメリカという国の格差・貧困問題を超えた、日 本にとって他人事ではないこの流れが、いま海の向こうから警鐘を鳴らしている。
著者は東京で生まれ、ニューヨーク市立大学大学院卒業後、国連婦人開発基金、米 国野村証券等に勤務中、9・11同時多発テロに遭遇、以後ジャ−ナリスト
として発言、講演活動を続けている。
主な著書として「グランド・ゼロがくれた希望」「正社員が没落する」
「アメリカは変わられるか」などがある。