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2007年2月1日 VOL.75

 

 

『障害者の経済学』 
著者:中島隆信    出版社:東洋経済新報社

亀山 国彦 

著者は慶応大学商学部教授 専門:生産性分析 これまでに「大相撲の経済学」「お寺の経済学」を上梓、経済的インセンティブがどのような社会でも働いていることを実証。
脳性マヒの子供を持つ著者は、障害者を弱者と見る当事者意識から脱し、経済学者としての冷静な視点から、関係者にしか情報のない障害者の世界を取り上げ、社会現象にひとつとして分析。
障害者も消費者=お客様であるはずだが、行政がサービスの中身を定め、無料で提供する従来型福祉の枠組みでは、様々なひずみ・非効率が生ずる。市場経済の仕組みを導入するのが効果的で、これは障害者以外の社会的弱者に対する対応策にも通ずるものだと主張する。
親離れ、子離れができないのは障害者、少子化家庭の子供と共通であるし、虐待事件に見られる親が子供を支配するという関係も同様である。
障害者には種々のカテゴリー、障害の程度があり、養護学校に通わせ、まとめて一定学習レベルの内容を教えると言う教育方法はすでに限界に達している。普通校での「落ちこぼれ」と同様、それぞれの子供の学習意欲を引き出し、特性を伸ばす教育方法が必要である。
社会保障制度、税制など「従来型会社人間」中心の柔軟性に乏しい制度は、障害者のみならずフリーター、出産育児期の女性にもマッチしていない。
日本の「駐車禁止除外指定車証」は、健常者による悪用を防ぐため、「車」を除外指定している(評者注:最近制度改正の動きあり)のに対し、アメリカでは「障害者本人」を除外指定しているので、友人の車を利用した場合など利便性が高い。多様化する社会にはあらかじめ悪用を防止する「転ばぬ先の杖」的なシステムは、そぐわないと指摘する一方、アメリカ型をスムースに運用するには、悪用を防ぐ事後的な監視機能が重要であると述べるなど首肯すべき記述が多い。
「宅急便」の生みの親、故小倉昌男氏の創業した障害者が自立して働く「スワンベーカリー」の精神と共通点が多い。




『近代美術事件簿』 
著者:瀬木慎一    出版社:二玄社

矢野 寛市 

 明治から現在に至るまでのわが国美術界の主な出来事が、数多の美術団体と900人近い作家を網羅して詳細に且つ明快に記述されている。著者の高い見識から随処に鋭い論評が加えられているのもこの本の価値を高めているように思われる。さらに、最後の「現状と展望」は、わが国美術界にたいする著者の厳しい批判と願望とが強い調子で書かれている。著者は、わが国の作家が世界に通用する作品を生み出すためには、何よりも強烈な個性が必要であると主張する。
明治9年に工部美術学校が開校されると、それまで見よう見まねで洋画を描き始めていた若者達が一斉にその門を潜り、優れた画家だったフォンタネージに学ぶが、西南の役で国が財政難になったこともあって、美術学校は明治17年に廃校される。
 一方、11年にアメリカから哲学、経済学の教授として東京大学に招聘されたフエノロサは、自国の文化を尊重すべきであるとして、洋画を排斥すると共に政府に働きかけて日本画のみの美術学校をつくり、岡倉天心を校長にする。
 ところが、26年にフランスで洋画を学んで帰国した黒田清輝は同志の集団である「白馬会」をつくると共に、フランス通の文部大臣西園寺公望に働きかけて29年に美術学校に洋画科を新設することに成功する。
 岡倉天心は横山大観、菱田春草など日本画を革新した逸材を育てるが、専横を批判され校長の職を辞して「日本美術院」をつくる羽目になり、洋画と日本画が再度逆転したような感じになる。
 黒田は画壇の統一を図って、40年に文部省展覧会を開くが、日本画は旧派と新派の対立から日本美術院が在野化し、洋画は印象派の洗礼を受けた画家達がアカデミックな画風の黒田一派に対抗して「二科会」をつくることになり、かえって画壇の複雑な構図が生み出されていく。




 

 

 

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『私の子育て日記 その2』
相川 香
 小さかった息子もあっという間に成長し、2歳3ケ月になりました。
生まれた時は自分で何もできない無力な赤ちゃんが、たった2年で言葉や歌をマスターし走り回る。人間という動物はなんて優秀なのだろうと感心する日々です。
 息子の成長は本当に楽しくうれしいのですが、最近とうとう『反抗期』に突入しました。着替え、保育園、お風呂、寝る前、必ず「イヤ」がお約束。以前は玄関先でこちらを振り向きもせずに走り去り、少しさみしくなるくらい大好きな保育園も、「保育園行かない」と言って「ママ抱っこ」としがみついてきます。最初は保育園でストレスでも溜っているのでは・・・と心配しましたが、園ではとても楽しそうな様子で、やはり甘えのようです。
 子供は大きく成長する時、その新しい世界に不安を覚え、不安定で扱いにくい時期に突入するそうです。実際、歩き始め、ハイハイの前など、大きな成長の前にぐずり時期がありました。この『第1反抗期』では、母子一体から独立し、自分の世界を持つようになるのだそうです。母子一体から自由になりたいという気持と、離脱する不安が『反抗期』の原因なのかもしれませんね。
 近い将来、変化を遂げた彼を見るのは楽しみではあります。とは言ってもお手柔らかにお願いしたいものですが、親としての成長期と思い、この大事な時期を乗り切って、いつまでも「よく笑いよく食べる」彼の天真爛漫な「最高の笑顔」を守っていきたいと思います。




 

 
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