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2006年7月1日 VOL.61

 

 

『日本共産党』 
 
著者:筆坂秀世   出版社:新潮新書

板井 敬之 

この本の著者は、日本共産党政策委員長・参議院議員であった筆坂秀世氏である。時々見るテレビの国会中継で、政府・与党に舌鋒鋭く迫っていた人でもある。
平成15年5月にセクハラ事件を起こし、党職は勿論、参議院議員も辞職し、昨年7月には離党した由。
その人が39年間在籍した同党の内情を明らかにした。
同党については、立花隆氏の「日本共産党の研究」に詳しいが、
No.4の幹部だった筆坂氏の筆になる本であるから、幹部しか知り得ない事実が明らかにされている。たとえば宮本議長引退の事情、不破議長の志位イビリ、年間収入300億円の党財政事情等々。
読後感を一言で言えば、同党も優れて人間の組織、どこぞのオーナー企業や老害に悩まされている大会社と変わらないな、というものである。加えて著者も書いているが、“無謬性”という建前の何と疲れることか。世の中のことは概ね相対的なものであり、“絶対に間違いがない”などということはないという、極めて当たり前のことを再確認した。
この本に対する日本共産党の反論は、如何なるものであろうか。
出来得れば「赤旗」とか「前衛」などの同党の機関紙(誌)ではなく、市井の人間が入手しやすい一般の出版社からの、たとえば「新書」で答えて欲しいと思う。




 
『映画評 ブロークバック・マウンテン(BrokebackMountain)』
監督:アン・リー  出演:ヒース・レジャー ジェイク・ギレンホール  
櫻田 薫 

 この映画には世界中で賛辞があふれている。台湾出身の鬼才アン・リー監督がメガホンをとり、アカデミーの監督賞、脚色賞、作曲賞だけでなくベネチア国際映画祭金獅子賞やニューヨーク批評家賞など世界中で61もの賞を総なめした。パンフレットの謳いどおり「映画史上もっとも心揺さぶられる純愛の物語」であり、忘れられない強烈な印象を残す映画になるだろう。ワイオミングの雄大な自然を背景に社会から孤立した男同士の関係が詩情ゆたかに描かれる。すべての俳優の演技に評価が高いが、特に主役でゲイのカウボーイHeath Ledgerがよい。アン・リー監督の「いつか晴れた日に」(英国の女性作家Jane Austinの「分別と多感」の映画化)を数年前に見たが、19世紀の優雅な英国人姉妹の恋愛と生活が巧みに描かれていた。中国の時代活劇から今日の恋愛まで幅広いテーマを手掛けながら、小津安二郎のように人間感情をこまやかに表現できる監督のように思える。
 強烈な印象を残す理由はそれだけではない。私のような熟年老人と同年輩の外国人を含めた男の数人が、たまたまこの映画について語り合ったときに皆が一致した意見がある。それは、このようなテーマを取上げた監督の知性と勇気は褒められるべきだろうが、ゲイ男性の情熱的な肉体関係が最も衝撃的だ、という俗物的感想である。世間一般の人もこの映画を見て同じ感想を持つのではないだろうか。保守的な人間はどんなに評判の高くても、初めからこの種の映画は見ないかもしれないが、同性結婚に対する議論が高まっている米国では、この映画は反対者の反感を増幅させるかもしれない。宗教的な規範とは無縁の日本人でも「禁断の愛」というような概念に違和感はないが、具体的な男性同士のセックス画面には本能的な嫌悪感を抱く人は少なくないだろう。それはもちろん芸術的評価とは別の話だろうけれど。




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シンガポール便り(8)  老人のオカネ』
岡田 桂典
この頃、歳を取るにつれて自分の“オカネ”を使うのも大変になるなと心配になりました。銀行ではATMカードと暗証番号、又は指紋、静脈等の生体認証方式を使います。ネット銀行ではパスワードが必要で、ネット・FAXの買い物にはクレジットカードの番号を使います。安全で便利のようですが、これらの手段は自分の体が自由に動き、頭が正常に働いているという前提になっています。或る日、自分が怪我や病気で動けなくなったら、自分を認証する番号類を誰かに教えなければなりません。生体認証制度ならば這ってでも銀行に出かけないといけません。どちらも現実的ではありえないでしょう。そしてついに“ぼけ”たら、ああ無常、自分のカネも(合法的には)使えなくなります。
さて、シンガポールではこういった心配はありません。支払いや現金化は小切手を使います。自分が動けなくて人に頼んでも現金化しても銀行は身分証明書番号を記録しますから安全です。また、銀行・証券の口座は複数人の単独のサインで使えます。本人が動けなく、また“ぼけて”いても配偶者・子供達は単独で本人のオカネを動かせます。次に贈与税がありませんから、自分が衰える前に子・孫等にオカネをあらかじめ“預けておく”事も出来ます。老人が自分のおカネで生活するのに全然心配がないのです。
日本では、老人が自分で行動できなくなった場合、そのオカネは家族等があらかじめ(非合法に)暗証番号等を知っていて使うということになります。しかし、少子化と都市化で、子・孫・信頼する甥姪達と近くに住むのすら困難になるでしょう。また、日本では身寄りがない人のためには「後見人」制度があるようですが、老人ホームの理事長が後見人になっているとか実情はかなり問題が多いようです。
かくて、老人はオカネを銀行等に「信託」し、引き出しの要件を法律で決めて、遠くに住む家族でも支払いを指示できるといった制度の確立が急務だと思います。また、身寄りがない場合は必ず弁護士さん等の第三者が家族に代わる制度が必要になります。





 
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