この本の著者は、日本共産党政策委員長・参議院議員であった筆坂秀世氏である。時々見るテレビの国会中継で、政府・与党に舌鋒鋭く迫っていた人でもある。
平成15年5月にセクハラ事件を起こし、党職は勿論、参議院議員も辞職し、昨年7月には離党した由。
その人が39年間在籍した同党の内情を明らかにした。
同党については、立花隆氏の「日本共産党の研究」に詳しいが、
No.4の幹部だった筆坂氏の筆になる本であるから、幹部しか知り得ない事実が明らかにされている。たとえば宮本議長引退の事情、不破議長の志位イビリ、年間収入300億円の党財政事情等々。
読後感を一言で言えば、同党も優れて人間の組織、どこぞのオーナー企業や老害に悩まされている大会社と変わらないな、というものである。加えて著者も書いているが、“無謬性”という建前の何と疲れることか。世の中のことは概ね相対的なものであり、“絶対に間違いがない”などということはないという、極めて当たり前のことを再確認した。
この本に対する日本共産党の反論は、如何なるものであろうか。
出来得れば「赤旗」とか「前衛」などの同党の機関紙(誌)ではなく、市井の人間が入手しやすい一般の出版社からの、たとえば「新書」で答えて欲しいと思う。
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