これからの時代は中国問題が重要だと言われて久しいが、いよいよその時代がやってきたようだ。隣国中国とはいったいどういう国なのか、一度整理して正しく理解をしておくに際して、この書物は大変貴重である。
著者古森氏は産経新聞のワシントン支局長、中国総局長など歴任した国際感覚鋭いジャーナリストである。北京支局勤務やワシントン支局長時代の経験がものをいって、著者の中国論は、中国人にとっては耳が痛いに違いないと思われるほどポイントをついており、歯切れが良い。
内容は靖国問題、東シナ海天然ガス開発での日中問題、わが国外交の失策、特に“国民の思考とズレた外務官僚”への批判、中国の軍備拡張問題の不気味さと米国サイドから見る中国に対する認識、中国内部の現実などなど、関心の深い時事問題を、得意の辛口“古森節”で語っている。本書は、これまで文芸春秋やSAPIOやVOICEなどの雑誌類に掲載した近年の著者の論文を集大成させたものである。
わが国のメーカーや流通業のトップ企業クラスが続々中国進出するなど、近年、経済的な関係がどんどん増大している折から、果たして中国リスクをどのように考えるべきか、日本人は皆、頭を痛めていると思う。実にタイムリーな執筆である。
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