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2004年4月1日 VOL.7

■書評
『日本の証言』─ 後藤田紘二
『人口減少、日本はこう変わる』─ 堤 貞夫
『ペイチェック 消された記憶』─ 中野 純子 

【私の一言】『映画と私』
大木 泰子

 

 

『日本の証言
著者:瀬島龍三   出版社:フジテレビ出版   価格:1,333円

後藤田 紘二 
 激動の時代を生き抜いてきた気骨の人が語る昭和史の生々しい記録である。
著者は大本営参謀部員、関東軍参謀としてその役割を果たした後、シベリヤに11年も抑留され、1956年帰国した。留守家族は妻が2人の娘を養う為に、懸命に働き、貧乏世帯をやりくりしていた所であった。
 生活は月給1万円の妻の収入だけが頼りと言う状況下で、就職先の確保は、容易でなかった様子である。伊藤忠入社まで1年4ヶ月もの間、失業が続いた。
 旧陸軍の同僚から自衛隊入隊の誘いがあったようだが、家族の反対で決断できず、シベリヤ時代に身につけた左官の技術を生かした職人の道も真面目に考えた時もあったようだ。
 昔の先輩が伊藤忠への就職を紹介してくれた。応募に当たり、いろいろと我儘な注文をつけていた所から推察して、或いは商社勤務は本意でなかったかもしれない。しかし生活が掛かっている。当初採用条件は、期間1年の嘱託社員であったが、妻は、その採用通知書を神棚に供えて喜んだとのことである。
 再就職にあたって、1.家族の応援があること 2.よき先輩を得ていること3.大物といえども最初は期間1年の嘱託社員からスタートしていることなど、現リストラ時代、中高年の再就職の心得にも通じるものがある。
 本書は、日本がなぜ真珠湾攻撃に至ったのかなど、読みやすく記述し、日本人が忘れかけている何かを見出す事の出来る、示唆に富んだ書物だと思う。




『人口減少、日本はこう変わる
著者:古田隆彦   出版社:PHPソフトウエアグループ  2003.9
本体価格:1,500円

堤 貞夫 
 古田隆彦氏の人口に関する本を以前に読んで、幅広い学殖、正確な表現に感心したことがあったが、今度の本は5万年の人類の歴史から説き進められ、人口が波動的に増減すること、それに伴う社会、経済、文化の変化が説明されている。
日本の人口は2004年頃に1億2700万人のピークを迎え、2050年には1億人割れ、2100年には5千万人ぐらいになりそうだが、人類5万年の歴史ではこれまで5回の人口減少期があったのだそうだ。旧石器、新石器、粗放農業、集約農業、近代工業のそれぞれの文明を見ると、環境の制約・抑制にぶち当たったとき人口は停滞し減少している。人口の推移をグラフで描くと、いわゆるロジスティック曲線と同じで、新しい文明が環境を変える力を作るにつれ始動、離陸、から上昇、高揚を経て飽和、下降となり次の文明に引き継がれる。

この前の文明の変化期は集約農業から工業文明に移行する時期で、我が国では社会が安定し消費文化の花が栄えた「元禄」を高揚期とし、吉宗の「亨保」から100年は人口が減少した。
 古田氏は1989年8月にこの理論に基づいて、日本は今後20年停滞することを予言し、この期間の対比を「昭和元禄」と「平成享保」のように呼ばれるであろうとなるとしたが、その直後のバブル崩壊以来これまで、まさにその通りに動いている。
 現時点が「飽和期」であるとすると、その時期の社会の特性として以下のものがあり
1.肥大化した自意識をまもる。─ 自己中心主義、晩婚・非婚化、少子化
2.攻撃性が強まる。─ 集団ヒステリー、キレル、イジメ、DV
3.引きこもり、無関心。─ 無宿、おりる人、文人、オタク、フリーター
多少の現代語も入れて補足すると、まさに現代の現象であると気づく。
最近の鳥のインフルエンザも、考えてみると何か気持の悪い出来事ですね。



『ペイチェック 消された記憶 2004/3/13公開
監督:ジョン・ウー  出演:ベン・アフレック ユマ・サーマン  

中野 純子 
 皆さん、こんにちは。ペイチェック〜消された記憶〜を観てきました。
 題名通り記憶を消される訳ですが、決められた期間内に契約した仕事をこなし、終わったらその期間内の記憶を消され多額の報酬を得るのです。契約期間内の記憶が無くなるのですから、自分がどんな仕事をしたか解からない訳ですよネ〜。覚えている最後の記憶が仕事をする前までの事で、私からすると、収入の為とはいえ人生の中で記憶がたびたび無いのはどうしたものかと思います。
 ストーリーは新しい仕事の契約で9200万ドルの巨額の契約をし、終了後記憶を消され、仕事に入る前に預けた私物と報酬を弁護士事務所に取りに行ったら、封筒の中に入っていた物は、預けた物とは全然違うガラクタばかり。なおかつ、9200万ドルの報酬を放棄している。全て記憶を消される前に自らした事だった。命を狙われ、逃げている絶体絶命の時にその封筒の中に入っていたガラクタがその度に役に立って命を救ってくれる。最初ガラクタを見た時、これが何かの役にたつのだろうとは想像していたがこんな使い方だったんだ〜とビックリする場面も多々。次はどんな物を使うのか?考えながら観るのも面白い。その記憶が消えている期間の謎を解くのですが、ストーリーの展開が早く、全体的に解かりやすく簡単ではあるが、予想を裏切ってくれる場面もありハラハラドキドキしながら、飽きずに最後まで観ました。アクションシーンも良かったし、ミステリー好きにはお勧めの作品です。







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『映画と私』
大木 泰子

 映画は私の人生のパートナーです。
 最初の記憶は、ディズニーの『砂漠は生きている』。日劇をとり囲む大混雑の中、通路にもぎっしりと人が座っていたこと、ピコン、ピコンと穴から出てきてあたりを窺うプレイリードッグの姿を覚えています。
 次は高校時代で、制服を着たまま友人達と渋谷へ出て、『ベン・ハー』『風と共に去りぬ』、『アラモ』等の大画面と、何回目かの公開の『エデンの東』。
 飛んで会社員時代、同僚のおじ様方と銀座に出て任侠映画を。藤純子は本当にきれいだったし、高倉健、鶴田浩二は実に格好よかった。静まりかえっていた超満員の観客は、主人公が一人敵にきり込むクライマックスでは大拍手、大喝采でした。
 そして、ロンドンのフィルムソサエティの小さな映写室での『フレンチカンカン』、英語の字幕を追うのは大変でしたが、上映が終ると全員拍手し、楽しい時間を共有した思いが自然にあらわれていました。
 映画から少し離れますが、劇場でのデボラ・カー、イングリッド・バーグマン、そしてローレン・バコールの実物の声、姿は圧倒的な美しさ。また、ローレンス・オリビエ、ジョン・ギールグッド、ラルフ・リチャードソン等々、素晴らしい名優の舞台を見られたことは、懐かしい、うれしい思い出です。
 誰にでも、生涯で最も幸せな日々があるそうですが、私にとっては、ロンドンでの経験が一つの大きな部分を占めているように思います。
 最後に、私の一番好きな映画は、ジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン主演の『駅馬車』ですが、これについては別の機会に。






 
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