このサイトでは書評、映画・演芸評から最近の出来事の批評まで幅広いジャンルのご意見をお届けしていきます。
読者の、筆者の活性化を目指す『評論の宝箱』
意見を交換し合いましょう!

 
       

 

 

■2007年8月15日号 <vol.88>
書評 ─────────────


・書評 浅川 博道  『鏡の法則』
・書評   岡田 桂典  『健康問答』

【私の一言】吉田 龍一  『笑いについて』

 

2007年8月15日 VOL.88


 

 

『鏡の法則』
著者:野口嘉則    出版社:総合法令出版刊    

浅川 博道  

 本書のサブタイトルは、「人生のどんな問題も解決する魔法のルール」。この語句を見た瞬間は、はっきり言って信じられない思いが強かったが、読み進むうちによい意味でこの思いは見事に裏切られた。
 ストーリーは、実話を題材にしており、小学校5年生の息子が学校でいじめを受けていることに悩む母親が主人公。この母親の悩みを解決するため、心理コンサルタントである著者が、母親が気付いていない根本の原因を指摘し、具体的な実践事項をコーチする形で話が展開する。
 著者の基本の考え方は、「現実に起きる出来事は、ひとつの結果であり、その原因はあなたの心の中にある。つまり、あなたの人生の現実は、あなたの心を映し出した鏡である」。この「鏡の法則」をもとに問題の解決法をコーチするわけだが、大切なことは他人を責める前に、自らが「尊敬する」、「感謝する」、「ゆるす」、「謝る」心を持つことと説く。
 本書を読んで、伝統的な宗教や東洋哲学と共通点を感じるが、特に「ゆるせない」と、誰かを責めていると、あなた自身やすらぎを感ずることが出来ないという一説には共鳴できる。本書があげる「100%相手の責任で、自分に責任はない」、「自分の責任を認めるより、被害者でいるほうが楽である」、「自分を守るためには、ゆるしてはいけない」という姿勢では、人生の好転は望めそうにない。

 

『健康問答』 
著者:五木寛之・帯津良一    出版社:平凡社

岡田 桂典  

帯津さんは71歳、東大医学部出身の外科医ですが、西洋医学の枠を超えてホリスチック治療の推進者として有名です。人間は身体・心・命が一体で生きている。病気にならないための養生、病気の治療も人間丸ごと、ホリスチック(全体的)にとらえる理想の医療を追及されている方です。五木さんは73歳、小説、評論など数多く、広い分野で活躍されています。まさに人間通のお二人の対談が面白くないはずがありません。
問答は食養生、健康常識、現代療法、癌療法、人気療法等の総チェックという形で進みますが、帯津先生の話は実に謙虚で柔軟性に富んでいます。医学は完璧ではない、個々人の自然治癒力が最も大事なのだから、良いと思う養生法、治療はやりなさい、但し、絶対に、一つだけ有効だというものは無いのだから、最終的には信頼できる自分の直感を働かせて選びなさいと教えます。また、病気は体だけではなく心とか命のエネルギーにかかわっている。ゆえに、予防は勿論治療にも医療と共に養生、休む、愉しむ、食べる等で命の場のエネルギー値を上げることも必要であると説かれます。
お医者さんは代替治療(西洋医学では十分ではない、その代替として漢方・気孔・栄養など8種類に分類されたもの)を非科学的だと認めませんが帯津先生は人間の命は体で言えば足のそこからくるぶしくらいしかわかっていないのだから、“心・命の働き”をお医者さんが認めないのは当然だといわれます。然し、薬漬け、検査漬けの医療にはもはや患者も信頼しない時代です。必然的に先生は医学の対象は身体から心と命へと転換しはじめたと確信されます。話はさらに進み、養生も単に体を労わって、病を未然に防ぐという消極的なものではない、日々の命の場のエネルギーを高め死後の世界に飛び込んで行く爽快な養生であるべきだと説かれます。そうしてお二人は人間としての生き方,死に方についても真摯に話を進めて行きます。
愉しい話もあります。“呑んでいて終わりはそばでしめようと思ったが、カツどんに抗しきれなかった。カツどんが旨いという心のどよめきはそばでは決して得られないでしょう”“お酒はストレスを減らし、体を温めてくれる、医学的にも認められた立派な養生法です。養生法である以上、一日たりとも休んではいけません。休肝日なんてもってのほかなんです”
先生と同じ年で食べ・呑むために生きている私、天寿を全うするまでの日々がばら色になりました。とても味わい深い本です。是非お読み下さい。

 
 
 
  

 

ご要望にお応えして、ジャンルを定めない自由評論コーナ ー【私の一言】を設けました。 評論の評論はもとより、社会評論等自由なご意見をお届けします。

『笑いについて』
吉田 龍一

昔から言われている笑いの効用は次の通りである。
1、いくら使っても減らないし、無料。
2、長時間大量に使っても副作用がないし、中毒症状も起こさない。
3、周囲も陽気になり、活力が湧いてくる。

しかし、最近は、「笑いの効用 9ヶ条」(日経新聞H16年4月4日8面)というのもあり、笑いが健康保持に重要な要素であると指摘されている。

1.脳内ホルモン分泌で痛みなどを緩和
2.内臓の消化機能が向上
3.横隔膜や腹筋などを強め、便秘を予防
4.NK(ナチュラル・キラ−)細胞が増え、免疫力が向上
5.血液がサラサラして、生活習慣病を予防
6.α(アルファ)波が増えて、全身が癒される
7.若返りホルモンの分泌を促進
8.頭がスッキリし、忍耐力とやる気が出る
9.自分が笑うと相手も笑顔に

 問題は、実は、現代社会は、笑うのが難しい環境にあり、複雑な人間関係、社会関係は、人間の本来持つ「笑う力」を奪っており、なかなか笑えないということである。

我々はもっと笑うにはどうすればいいのか。笑うために皆訓練をしているのである。

インドには、みんなで集まって笑い続けるサークルがあるそうであり、日本の防府市のお笑い講では、大声を上げ皆で笑っている。訓練でも声を出し笑い続けていると不思議と楽しくなり、みんなでやっていると不思議な興奮があるということらしい。
また、プロレスラーのアニマル浜口氏によると、丹田呼吸法と合わせて「わっはっは、わっはっは、わっはっは」と、時間にして1分ぐらい腹の底から笑うことを続けていると頭の中が空っぽになって、緊張でごりごりに凝り固まっていた心と体がほぐれてくるそうである。

これらからすれば、笑いは、わっはっは、わっはっは声を上げて笑うのがいいようである。

この笑いを習得し、毎日笑うことは、今日の日本では社会福祉的見地からも期待されているのではないかと思う。


∴∴∴∴《編集後記》∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴

お盆(盂蘭盆会)の時期になりました。お盆(盂蘭盆会)は、先祖や亡くなった人たちが苦しむことなく、成仏してくれるようにと、私たち子孫が、報恩の供養をする時ですが、現代はレジャー週間ということでしょうか。酷暑の時期なので気をつけてお過ごしください。
今号も多面的なご寄稿有難う御座いました。
“笑いの効用”にも”鏡の法則”があり、“健康問答”の帯津先生のお教えに従い、自分の直感から笑いの訓練もしたいものだと思いました。(HO)








 
バックナンバー
2012/12/15
2012/12/01
2012/11/15
2012/11/01
2012/10/15
2012/10/01
2012/09/15
2012/09/01
2012/08/15
2012/08/01
2012/07/15
2012/07/01
2012/06/15
2012/06/01
2012/05/15
2012/05/01
2012/04/15
2012/04/01
2012/03/15
2012/03/01
2012/02/15
2012/02/01
2012/01/15
2012/01/01
2011/12/15
2011/12/01
2011/11/15
2011/11/01
2011/10/15
2011/10/01
2011/09/15
2011/09/01
2011/08/15
2011/08/01
2011/07/15
2011/07/01
2011/06/15
2011/06/01
2011/05/15
2011/05/01
2011/04/15
2011/04/01
2011/03/15

2005/03/01

2004/12/01

 
 
 
 
 
Copyright(c)2001-2007 H.I.S.U.I. Corp. All right reserved.
□動作確認はMac OS9.2 + IE5.1にて行ってます。
□当サイト内コンテンツおよび画像の無断転載・流用を禁じます。










SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送