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2006年6月15日 VOL.60

 

 

『社長実学』 
 
著者:岡本弘昭   出版社:創英社/三省堂書店

今村 該吉 

 この本は、本メールマガジン「評論の宝箱」を主宰している著者が新たに刊行したものである。
 著者は現在「21世紀企業経営者懇話会」を主宰しているが、この書は懇話会が50回を数えたことを機に、これまでの懇話会における講師の話と氏のコメントとを集大成したものである。
経営指南書は世に掃いて捨てるほどある。その中にあってこの書がユニークであるのは、視点を社長のあり方に絞り、しかも実際に著者自身が耳で聞いた話をベースにしていることである。
日本の株式会社は約250万社と言われ、そのうち東京証券取引所に上場されている会社は2300社である。この数字が多いか少ないかはともかくとして、それだけの数の社長がいる。この中には立派な社長もいるが、無能で親の築いた会社を潰し、従業員を泣かせる者もいる。この書のサブタイトルが「企業は社長で決まる」と言うように、会社の栄枯盛衰はまさに社長によるところ大であり、従業員とその家族の運命を担っているだけに、責任は誠に大きい。「社長は、副社長の副がとれたものではない」(本書134ページ)と言うが、私も知人の社長が「たとえ副社長の3倍給料を貰っても割に合いませんねえ」と述懐していたことを思い出した。
この本の社長あるいは社長候補者への忠告は誠に具体的である。例えば「2代目社長等が自覚すべき事項」(本書109ページ以下)の中で、2代目社長は一般的に素直で、平時は円満な常識人として経営ができるが、創業者と比較した場合、何者も恐れない強靭な心が弱くないか、と指摘し、具体的な心構えを5項目挙げているが、これらはいちいち思い当たる節が多いだろう。その意味で彼らが経営を行う際に大変参考になろう。
と同時に社長ではない私にとっても人生の師として含蓄があり、啓蒙されるところが多い本であった。多くの方に読まれることを期待する所以である。




 
『百年の遺産・・・日本近代外交史73話』
著者:岡崎久彦    出版社:扶桑社文庫
山本 俊一郎 

 著者は元職業外交官で、本書では明治以降の日本外交史とこれに関連する国内史を扱っている。もともと平成14年4月から73回に亘り産経新聞紙上に連載した記事をもとに出版された。従って、近現代史を扱ってはいるが、記述方法は読物に近い。また、外交史を中心にしているため、相澤事件(注)のように全く触れていない事件もあって必ずしもすべてを網羅しているわけではない。
(注)昭和10年、陸軍省軍務局長永田鉄山が相澤三郎中佐に斬殺された事件
 しかし、記述は正確で、あまり知られていない明治以降の近現代史を知るよい手掛かりになる。
 著者は、陸奥宗光に傾倒しているようで、陸奥宗光のみを扱った著書もある。
 明治時代の国内事情と日本外交について、当時の政治家、官僚達がまだ発展途上国に過ぎなかったわが国を如何にして欧米列強に近付けるかに全力を傾注し、細心に準備を進めたかを丁寧に記述している。
 これに較べると日支事変(日中戦争)から大東亜戦争(太平洋戦争)に至る国家指導者達のいい加減な対応ぶりは目を蔽うほどで、到底、指導者の名に値しない人物達だったと感ずる。
 著者が最も書きたかったのは、敗戦後の東京裁判から1951年の占領終了に至る連合国の東京裁判、および連合軍総司令部の対日政策の批判のように思われる。東京裁判における裁判官達の恣意的な態度、勝者の敗者に対するリンチに近い審理の進め方、および占領政策遂行に当っての連合軍最高司令部の施政方針など、占領中の新聞、ラジオ等で殆ど報道されなかった事実が幾つか紹介されていて興味深い。また、連合軍司令部民政部内の勢力抗争についても触れている。
 占領軍の占領政策もあって、戦後の日本社会は戦前とは完全に切離されてしまった。更に、戦後永らく、近現代史書の主流は必ずしも客観的な記述とはいい難いものになり、戦前は全くの暗黒時代であったかの如く誤解されている。しかし、筆者は大正時代のように民主的で良き時代もあったことを力説して、実態は一般に信じられているほどには単純ではないと主張している。




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古希の話』
吉田 龍一
 日本人の平均寿命は、戦前の第6回生命表(昭和10年、11年)では、男46.92年、女子49.63年であったが、平成16年簡易生命表では男子78,64年、女子85,59年だそうである。従って、戦前の還暦というのは、大変な節目であったが、今では、多くの人は生活も忙しく、本人も周囲もあまり意識はしないように思う。私自身も、還暦はあまり意識せずに経過したと思う。
 所がである、古希ともなれば、これが随分と違う。例えば、健康診断でもチェックされる項目が増え、運転免許の更新のための高齢者講習会を受けると動体視力等が話題になったり、学校の同窓会では出席者が減っていたりする。仲間うちのゴルフでも、遠方や、アップダウンのきついコースでは、不参加もふえる。これらが重なり、古希は還暦とは大いに異なり、自分でも加齢を意識するようになるが、同時に健康保持を意識するようになる。
なぜかと言えば、平均寿命と健康寿命とは異なるからだ。
 先日、喜寿を迎えた台湾の友人から健康寿命を保持するコツは次にあると教わった。
老身(ラオスン) 老伴(ラオパヌ)
老本(ラオプン) 老友(ラオイウ)
特に重要なのが老本で、すべての根本である気力の充実を意味する。
老身も強く意識せざるをえない。随分前のことであるが、友人から、健康10訓(尾張藩 横井也有))のうちの4訓を頭に叩き込みたいと考えている。
1 小肉多菜、 2 小塩多酢、 3 小糖多果、 4 小食多齟
老伴、老友は、当然である。片や人生の戦友であり、仲間である。最後まで大切にしたい。離婚などもってのほかである。
いずれも当然ともいえる教えであるが、この4つを強く意識することがピンピンコロリの要諦と考えて今後の生活を励みたいものだ。





 
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