頼 山陽:1781〜1832江戸時代後期の歴史家、文人。
日本外史がベストセラー
長尾 剛:1962年東洋大学大学院修了、ノンフィクション作家。
日本文学・思想史を研究。
この本の副題は《幕末のベストセラーを超現代語訳で読む》と付けられてい
る。
我々の世代は漢文を読めない。全く残念な事である。高校の歴史で日本外史
の言葉も、頼山陽の名前も聞いたことがある。日本外史は漢文で書かれてい
て私には読めない。
この著書のように完全な現代語に翻訳されると楽しく読める。幕末の志士の
必読書であった。木版印刷されてから爆発的に売れ幕末明治のベストセラー
である。武士の歴史である。
日本外史は全22巻の大著であるが、歴史的事実の部分を除いて歴史事実に対
する頼山陽の論賛を主として翻訳されている。気楽に読める歴史書である。
是非一読をお薦めしたい。
頼山陽の論旨は明確で、1つは名分論、東洋的な道徳観、親と子、主君と臣下
は絶対であること。2つ目は尊王である。論賛部分の概要は次の通りである。
第1章 源氏前記 平氏 武家の政界進出の功と罪
第2章 源氏正記 源氏 武家は朝廷の忠実な僕であれ
第3章 源氏後記 北条氏 罪深い政権だが、国防は秀逸
第4章 新田氏前記 楠氏 もっと評価されていい楠公
第5章 新田氏正記 新田氏 戦は下手だが、尊王の志だけは貫いた
第6章 足利氏正記 足利氏 国を混乱させた大義なき支配者
第7章 足利氏後記 後北条氏 大軍を向こうに奮戦した結束の力
第8章 足利氏後記 武田氏上杉氏 洗練された兵法の確立
第9章 足利氏後記 毛利氏 義を通じた者にこそ天意がかなう
第10章 徳川氏前記 織田氏 我が国の礎を築いた英雄
第11章 徳川氏前記 豊臣氏 一代ですべてを得、すべてを失った傑物
第12章 徳川氏正記 徳川氏 時代に選ばれていた天下泰平の立役者
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