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2005年9月1日 VOL.41

■書評
・『汐留川』― 今村 該吉
・『タヒチからの手紙』―矢野 寛市
・【私の一言】『日本民族精神構造改革論』 川井 利久

 

 

『汐留川』
著者:杉山隆男 出版社:文芸春秋社 

今村 該吉 
 私たち昭和10年代に生まれたものにとっては昭和30年代という時代は、仕事に、住宅ローンに、子供の教育に、と重責を担わされ、ともかくもシンドイ時代であった。しかし将来に希望が持てる輝かしい時代でもあった。いま過去40年前を振り返ると奇妙な懐かしさを覚える。
 筆者は団塊の世代の生まれ(昭和27年)であり、昭和30年代は小中学生であっただろう。
 七編の短編からなるこの小説集は、たとえ現代を舞台に設定しても、いつの間にか筆の運びは30年代の回顧に引き戻されてしまう。まだ新幹線はなく、コンクリートで固められた高速道路も海岸や都心を縦横無尽には走っていなかった。白いあぶくがプカプカ浮かび、汚れてはいても、至る所に川があり、橋があった。数寄屋橋では男女の出会いがあり、新宿には都電が走っていた。そんな時代がセピア色に浮かぶ。
 小学校の同窓会、ほのかな恋心を抱いた少女、卒業記念写真、近所のおばさん、子供のいない中年の夫婦、散骨式で出会った父の知人。筆者のこれらの人を見る目は暖かく、いずれのストーリーも切なく泣かせる。東京ノスタルジャー物語である。
 筆者は読売新聞の記者を経て著作活動に入った。「メディアの興亡」で大宅壮一賞を取ったチャキチャキのノンフィクション作家である。しかし筆者の本当に書きたかったのはこんな大人のためのおとぎ話ではなかったのだろうか。この路線の続編を期待したい。




『タヒチからの手紙』
著者:ポール・ゴーガン 訳:岡谷公二 出版社:昭森社

矢野 寛市 

 これは、印象派の画家の中でも最も革新的であったゴーガンが、月一回の船便に託して送った143通の手紙を収めたものである。友人のダニエル・ド・モンフレエに宛てたものが84通と圧倒的に多く、次いで妻のメットに宛てたものが27通と多い。
 訳者は、“これは十九世紀ヨーロッパの機械文明、ブルジョワ文明を否認した一人の画家の死闘の記録である。これほど激しい戦いを挑んだ人間が、一体ほかにいるだろうか?これは画家の書簡集として読まれる本ではない。類まれな人間記録として、読まれるべきものだと訳者は考える。画家の手になる書簡文学として、恐らく「ゴッホの手紙」と双璧をなすものだろう。”と記している。
 ゴーガンの代表作とされる横4メートル50縦1メートル70の大作「我等はどこより来たのか?我等は何者なのか?我等はどこへゆくのか?」は、ゴーガンがパリから絵の売却代金の送金も無く、健康状態も悪いことに悲観して自殺を決意し、最後の作品と思って描いたもののようである。後日、パリの文芸誌にこの絵の批評を載せた詩人に、絵の意味するところを解説した長文の手紙を送っているが、その中に“私は、文学的な手段に少しもたよらず、できるだけ単純な技法を用いて、暗示的な構図の中に、私の夢を表現しょうとしたのです。”といふ下りがある。
 とにかく、徹底的に模倣を排し、革新性を尊重したゴーガンの絵は、一般の人には極めて分かりにくく、なかなか売れなかったが、ゴーガンが亡くなるころには、絵に対する世の中の考え方が変わり、他の印象派の作家達のなかには相当裕福な人も出ていることに秘かに満足していたようである。




ご要望にお応えして、ジャンルを定めない自由評論コーナ ー【私の一言】を設けました。 評論の評論はもとより、社会評論等自由なご意見をお届けします。

『日本民族精神構造改革論』
川井 利久
戦後60年、日本はすっかり変わってしまった。良くなった事が多い。
豊かになった反面、失われつつある醇風美俗が気になる。
競争社会、国際化、コマーシャリズム、テレビ、コンピューター社会の負の現象が日本社会を蝕み始めている。
盗む、殺す、だます、裏切る、夫婦、親子関係、弱者へのいたわり、他人への思いやり、礼儀、忍耐。これらの人間社会の基本道徳が危殆に瀕している。
少子高齢化の人口構成の歪みが子供の甘やかし、若者のニート化、社会の活性化低下、無法外国人の流入、犯罪と社会の基盤を揺るがして来た。
一家の繁栄は3代で消えるのが世の常識と言われるが国についてはそう簡単には行かない。ここで立て直しの妙案はあるのか?折りあたかも衆議院選挙。
ない知恵を絞って考えたのが次ぎの案である。
1.保育園の100%拡充による育児支援と女子労働力の確保。お産無料化。
 育児手当20万円/1名(何人でも可)
2.学校の先生の質向上。給与待遇の最大改善。採用には学力だけではなく、統率力人格を視る。
3.道徳科目の充実。
4.15〜16歳の若者全員に社会奉仕勤労隊で訓練。高齢者介護、災害救助等
5.有害マスコミ、玩具の規制。
6.裁判の迅速化、刑罰の強化。
7.パート・タイマー、フリーターの人権を法律により保護する。
8.人口の都市集中現象を地方分散化政策によってマルチ文化の育成。
9.まじめに励めば幸せな結婚、楽しい家庭生活ができ、子供を2人以上生める環境の国家的整備。
10.終身現役に近づける勤労体制の整備。
 以上8,9,10は具体策をボーリングする必要あるが、国会での無意味な論戦をやめて議員一人一人がもっと政策立案能力を高めて、選挙には公約だけでなく実績を選挙民が査定することによって、議員の資質を向上させる必要がある。









 
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