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■2009年3月15日号 <vol.126>
書評 ─────────────

・書評   前川 彬 『オーケストラ、それは我なり』  
            中丸美絵著 文芸春秋
・書評   船渡尚男 『日本の反省』
            飯田経夫著 PHP

・【私の一言】幸前成隆 『諌言を去れるか』






2009年3月15日 VOL.126


 

『オーケストラ、それは我なり』
著者中丸美絵    出版社:文芸春秋

前川 彬    

本書は、2001年93歳で亡くなった指揮者朝比奈隆氏の評伝である。亡くな
る3年前から取材を始めて10年を経てようやく発刊された労作であり、それ
だけに氏の生涯を丹念に書いている。
 内容は、プロローグの「最後の演奏会」(たいへん印象的である)からはじ まり、その生涯を4区分しそれぞれの時期の氏の動向や出来事を追っている。
区分は、出自から指揮者になるまで(30歳まで)、上海での活躍と戦後(40歳
まで)、世界で活躍する指揮者になるまで(70歳まで)、晩年の時期(死去す
るまで)であるが、著者はそれを「4つの試練」という形でうまくまとめて
いる。
私は、京大法学部の大先輩でもあり朝比奈隆の名は古くから知っていたが、
実際に演奏会で見たのは氏が晩年になってからである。その端正な指揮とす
ばらしい演奏に魅せられ、また3B(ベートーベン、ブラームス、ブルックナ
ー)を得意とすることも好ましく、完全にフアンとなった。以来、氏に関す
る著作は何冊も読んでいるが、本書ほど氏を多面的に扱ったものは見当たら
ない。そして、世界的な大指揮者であってもマイナスの評価をされる部分も
あるが著者はそこもしっかりと書いており、「評伝」としての価値は十分にあ る。
 氏の一生は実にドラマチックであるが、読後二つの感慨を持った。一つは、 こうした生き方ができたのは、もちろん時代の背景もあるが、氏が音楽に対 する強い情熱と幾多の試練を乗りこえて目指す道を達成していこうとする強 い意志の持ち主だったからであると思う。その結果がこのような偉大な指揮 者の誕生につながったということである。もう一つは、関西財界をバックに つけて、大阪フィルを生み育て上げた氏の経営者としての側面も見逃せない。
音大で純粋培養された人が多い世界からは、こうした経営手腕を持った音楽
家はなかなか生まれてこないのではなかろうか。それだけに、氏は日本の音
楽界でほんとうに貴重な存在であったと思うのである。 


 

『日本の反省』
著者飯田経夫著    出版社:PHP

船渡 尚男  

 1996年の刊行で遺著ともいえる著書。前回のバブル期を見ながら論じてい
る。「稼ぎ以上の暮らし」をする アメリカの真似をする必要があるのか。前 川レポートの誤り―戦略の無さーを指摘。アメリカの内需拡大要求に直に従 った結果は無残なものとなった。
 経済は、もの作りから離れるとどこかおかしくなってしまう、「額に汗し手 に油して」が、経済の基本である。情報化社会の行くつくところ 敗者の増 大と社会のレベルの低下である。アメリカが立ち直ったかのようにみえるが、 社会のレベルは低い。ふつうの凡人(ひらの人)たちに大きなプレッシャー となり、疲れさせる。
 アメリカは手本にならない。日本は真面目に働いている 何等反省するこ
とは無い。市場開放も十分やっている,
識者は反省すべきと指摘するが、全くその必要なし。
日本的経営の根本精神は、人間主義+平等主義+現場主義である。 このこ
との良さを確りとわきまえるべきである。
経済学は社会哲学でなければならないー良き社会とはどのような社会である
かを考える学問である。最後に、ものの豊かさの面で人々は十分である。
暇を有意義に過ごすためには大したカネはかからない。心の豊かさ、簡素な
生活でよいではないか、と結んでいる。
 飯田さんの持論であるが 全面的に共感する。今日の事態の到来を憂えた
警世の著作である。





ご要望にお応えして、ジャンルを定めない自由評論コーナ ー【私の一言】を設けました。 評論の評論はもとより、社会評論等自由なご意見をお届けします。

『諌言できるか』
幸前 成隆

 諫言は、難しい。
勇気がいる。「暗主は、拒むに威をもってする」(帝範)。 
死をも覚悟して行う必要がある。唐の太宗は、「人臣、諫めんと欲すれば、死 亡の禍いを懼る。かの鼎かく(テイカク)に赴き、白刃を冒すと、何ぞ異らんや。
故に、忠貞の臣は、誠を竭(ツ)くさんことを欲せざるに非ず。誠を竭くす者
は、これ極めて難し」
(貞観政要:ジョウガンセイヨウ)と、言われる。
又、信頼関係がないとできない。論語・子張には、子夏(シカ)が「信ぜられ
て後に諫む。未だ信ぜられざれば、もって己れを謗るとなす」と、言ってい
る。
 信頼があっても、人それぞれ才器が違う。魏徴(ギチョウ)は、「懦弱(ダジ
ャク)の人は、忠直を懐(イタ)けれども、言う能わず。疎遠の人は、信ぜられ
ざるを恐れて、言うを得ず。禄を懐う人は、身に便ならざるを慮りて、敢え
て言わず。あいともに緘黙(カンモク)し、俛仰(フギョウ)して日を過ごす所
以なり」(貞観政要)と、指摘する。
 諫言をするには、早めに行うのがよい。遅くなると、今さらやめられない
と言われることがある。楮遂良(チョスイリョウ)は、「そう臣は、必ずその漸
(ゼン)を諫む。その満盈(マンエイ)に及びては、また諫むるところなし」と
いう。
 又、仕方がある。礼記(ライキ)には、「人臣たるの礼、顕には諫めず。三たび諫めて聴かざれば、これを逃る」とある。






入社・入学を控え夢が膨らむ時期でもあります。雇用情勢など良くない環境 でありますが、しっかりした夢を持って進んでもらいたいと思います。ご参 考に昔覚えた夢9条を記します。

第1条 大きいこと、すごいことだけが“夢”ではない。身辺の些細なこ とにも“夢”がある。

第2条 “夢”は今自分がどのような状況におかれていたとしても自由に 描くことが出来る。

第3条 とにかくBetterで1つ決める。どんな時でも今目指している “夢”を1つは持っていること。

第4条 夢”は同時にいくつでも持つことができる。

第5条 自分1人だけが満足できるものは“夢”でない。周りの人や社会 に役立つことが“夢”になる。

第6条 金儲けは“夢”にならない。その金を何によって得たか、何に使 うかが“夢”になる。

第7条 “人を幸せにする”“もっと満足を与える”等抽象的なものは“夢” でない。具体的なものであってこそ“夢”になる。

第8条 “夢”とはどんな困難を乗り越えても達成したいものである。

第9条 “夢”は行動をしてこそ“夢”であり、行動を伴わないものは幻 である。

なくなられた方の著作等の書評を2編頂きました。筋の通った意見であり考
えが示されており、興味深く御覧いただけると思います。
 ご寄稿を有難う御座いました。(HO) 








 
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