このサイトでは書評、映画・演芸評から最近の出来事の批評まで幅広いジャンルのご意見をお届けしていきます。
読者の、筆者の活性化を目指す『評論の宝箱』
意見を交換し合いましょう!

 
       





■2011年3月1日号 <vol.173>

書評 ─────────────

・書 評   浅川博道 『たっぷり生きる』
            日野原重明・金子兜太著 角川学芸出版

・書 評  石川 勝敏 『山本七平の叡智』
            矢沢永一著 PHP研究所

・【私の一言】 幸前成隆 『自燈明』


既刊のメルマガはこちらから見れます

 



2011年3月1日 VOL.173


『たっぷり生きる』
 (日野原重明・金子兜太著 角川学芸出版)  

浅川博道   


日野原氏には多くの著書があるが、本書は俳人の金子兜太(かねことうた)氏との対談である。日野原氏は99歳、金子氏は91歳、それぞれの道で生涯現役を目指している。対談の進行役を務める俳人の黒田杏子さんの言葉を引用すれば、「世紀の怪老人対談」。まことに妙を得た表現だと思う。
白寿ドクターと卒寿俳人の元気でたっぷり生きるパワーは、いったいどこから生まれるのだろうか。読進むうちに一つの共通点にたどり着く。それは、人生の転機となるような出来事との遭遇である。
日野原氏の場合は、10歳と21歳の時の大病、さらに、乗客として巻き込まれた「ヨド号ハイジャック事件」の体験。金子氏の場合は、大量の戦死者や餓死者を出したトラック島からの「九死に一生」の体験。この体験から自分の命は神様から与えられたものという感謝の気持ちが生まれる。同時に自分の力以外の力があるのではないか、という自信も生まれる。
対談は、上述の体験談をはじめ人生の数々の出会い、いのちの問題、アニミズムと俳句、健康と日常生など、さまざまな話題に広がっていく。人生の達人の一語一語の重さの中に、何歳になっても新しいことを創(はじ)メルコとの大切さや受けた恩に報いたいという強い「気(スピリット)がつたわってくる。
「それでは5年後に、またお会いしましょう」という日野原氏の結びの言葉。すっと読むと当たり前のうに感じるが、よくよく考えると大変なことである。まさに、怪老人である。

『山本 七平 の叡智』 
(矢沢 永一著 PHP研究所)

石川 勝敏   


日本人を理解するための75の視点
山本七平の仕事を総称して山本学と言われる。この山本学の目的とするところは日本人論であった。日人とは何か、日本人の心性つまり日本人のものの考え方感じ方見方にはどういう特徴があるのか、日本人が群れ集まっている日本人社会はどういう見えない原理で動いているのか。日本人社会の進行原理に対処するには、どうすれば良いのか。
それが山本学の中心課題であった。日本人社会の特性の多くが彼によって発見された。
昭和45年から昭和62年までの山本七平の著作32冊からその急所とみられる75箇条を引き出し矢沢永一が論及している。
―はじめに―史上最高の日本人論 より抜粋
山本学を究めるには 彼の著書全てを読破する必要があろうが、否定的な日本人論ではなく、肯定的な日本人論であることも 楽しさの一つである。
◎山本 七平 1921−1991大正10年―平成3年 神戸生まれの、イザヤペンダサンの著書「日本人とユダヤ人」の翻訳者として衝撃的にあるいは華々しく世に登場した。山本 七平は、多くの日本人に「日本人」「日本教」について鋭く問題提起した。

 

ご要望にお応えして、ジャンルを定めない自由評論コーナ ー【私の一言】を設けました。 評論の評論はもとより、社会評論等自由なご意見をお届けします。

『自燈明』
幸前成隆


「自燈明(釈尊)」。釈尊の最後が近いことを知らされた阿難が何を頼りにすればよいかと問うたところ「汝自らを燈火とし、汝自らをより所とせよ。他をより所とするな」と答えられたとある。「おのれこそ、おのれのよるべ。おのれを措きて、誰によるべきぞ(法句経)」。
自己を頼め。「一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うることなかれ。ただ一燈を頼め(言志晩録)」。「一燈とは、自己の堅忍不抜の向上心(川上正光)」。
「自らたのみて、人をたのむなかれ(韓非子)」。「人に求むること可ならず(呻吟語)」。「切に忌む、他に随ってもとむることを(洞山録)」。
「火を乞うは、燧を取るにしかず。汲を寄するは、井を鑿つにしかず(准南子)」。「うまくやりたければ、自分でやれ(ナポレオン)」。
「大丈夫事を成す、ただ自己の独立これ恃む。決して他人の力をからず、便宜の地位を求めず(西田幾太郎)」。「頼れるのは、自分しかいない(安藤太郎)」。「天は、自ら助くる者を助く」。
他人をあてにしてはならない。他人をあてにすると、失敗する。「万の事頼むべからず。愚かなる人はふかく物を頼むゆえに怨み怒ることあり(徒然草)」。「人、城を頼らば、城、人を捨てん(織田信長)」。
人生は、独生、独死、独去、独来。「この世は一人旅(瀬戸内寂聴)」。「ひとりでいきんしゃい。なんやらかんやら、たよろうと思わんがヨカ(松崎禅戒)」。

 

 

 戦後の日本人は、より良い生活を追及して、『もっと』『まだまだ』『勝たなくちゃと』というMMKを追求してきました。そしてこれからは、世界の成長戦略の先に起こることを考え、『もったいない』『みっともない』『かたじけない』の新MMKを大切にする必要がある時代だそうです。『もったいない』は節約する心、『みっともない』は自己中心を戒める心、『かたじけない』は感謝し共生を目指す心だそうです。
この新MMKは京大の松本総長の勧めです。これは世界の成長戦略の先でなく、現在の日本人の生活のなかこれを大切にしなければと思う場面が多くあります。心したいと思います。
本号も時宜を得た、多面的なご寄稿をありがとうございました。(H.O)






 
バックナンバー
2012/12/15
2012/12/01
2012/11/15
2012/11/01
2012/10/15
2012/10/01
2012/09/15
2012/09/01
2012/08/15
2012/08/01
2012/07/15
2012/07/01
2012/06/15
2012/06/01
2012/05/15
2012/05/01
2012/04/15
2012/04/01
2012/03/15
2012/03/01
2012/02/15
2012/02/01
2012/01/15
2012/01/01
2011/12/15
2011/12/01
2011/11/15
2011/11/01
2011/10/15
2011/10/01
2011/09/15
2011/09/01
2011/08/15
2011/08/01
2011/07/15
2011/07/01
2011/06/15
2011/06/01
2011/05/15
2011/05/01
2011/04/15
2011/04/01
2011/03/15

2005/03/01

2004/12/01

 
 
 
 
 
Copyright(c)2001-2009 H.I.S.U.I. Corp. All right reserved.
□動作確認はMac OS9.2 + IE5.1にて行ってます。
□当サイト内コンテンツおよび画像の無断転載・流用を禁じます。










SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送