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■2012年10月1日号 <vol.211>

書評 ─────────────

・書 評   丸川 晃 『中國 ON CHINAキッシンジャー回想録』
            (塚越 敏彦 外3人訳 岩波書店)

・ 随 想   矢野寛市 『私の健康遍歴』

・ 私の一言  岡田桂典 『危機に際して誰が働くのか』

 

 


2012年10月1日 VOL.211

『中國 ON CHINAキッシンジャー回想録』
(塚越 敏彦 外3人訳 岩波書店) 

丸川 晃    

本書については、既に、新聞その他で複数の専門家により、様々な局面
から書評ないし評論が取上げられている注目書であるにも拘わらず、国際
政治の分野は全くの素人が、この本をここで敢えて無謀にも取上げた個人
的理由は、以下のようなものである。

即ち、その第一は、若い頃から中國の歴史,政治・経済推移などに深い関心
を持っており、特に,エドガー・スノーの『中國の赤い星』を読んで感激し
たり、中国史の本を片っ端から乱読した時期もあったし、また1970年代後
半から80年代初頭にかけては、当時勤めていた会社で技術移転のため、十
数回も北京や西安を訪問した経験があることから、その後の中國の動向に
は深い関心を持ってきたこと。

第二に、 Nobel平和賞受賞(1975年)、ハーバード大学教授、国務長官など
を歴任して、 既に89歳になるH.A.キッシンジャーという特定の人物が最初
の北京秘密訪問時の71年以来、現在までに50回以上中国を訪問して、革命
以降現在に至るまでの中國政府の最高指導者に会見して、個人的に受けた
生の印象・記録,および彼の診たこの40年間の米・中関係の推移を、比較的
客観的に記載している希有の書であること。

そして第三に、最近の日・中関係は残念ながら尖閣諸島問題などでやや先
鋭化しているように見受けられるが、 キッシンジャーの場合、保守的傾向
が強くなりつつある米国が、今後中國とどのように付き合うべきかについ
ての考え方は同様の環境下にあるとみる日本の隣国、対中国との関係改善
にとって何らかの示唆を与えていると考えられること、などの諸点にあった。 
本書の翻訳本は、上下2巻、2段組で計ほぼ600頁。上巻は、キッシン
ジャーが観察した中國の歴史概説と、第二次世界大戦後の革命推移、朝鮮
戦争、米・中の対立と和解(キッシンジャーの北京秘密訪問)迄。下巻では、
文革を経て、第一世代の毛、周の死去、とう(登へんにおおざと)小平の
登場と天安門事件、門戸開放、江沢民の対米接近、更に胡錦涛の第五世代
が果たした経済成長時代までを硬軟取り混ぜた米・中関係の推移を軸にし
て辿っていき、結論として、米・中を軸とした『太平洋共同体』の設立を
提案している。

然し、この二段組で上下600頁以上にのぼる大冊について、敢えてここで
屋上屋を重ねて全般的に『書評』するというのは僭越極まりないし、また
かかる大作を消化してコンパクトに纏め上げる力もない。実は、神聖化さ
れた毛沢東の思想、周恩来に対する人間的な面の絶賛、とう小平(とう
しょうへい)の現実的な鞭と飴、江沢民の柔軟性など、歴代の中國最高指
導者からキッシンジャーが受けた印象なども要約したいのは山々であるが、
これも既に上記した『書評』類でも紹介されている通りなので、重複は避
けて、日・中國関係に関心を持つ平凡なマイニチ・サンデーの老人がキッ
シンジャーが本書で一貫して主張している中國の思想面に見られる特殊性
と、彼が考える今後における米・中関係の方向性という二点に絞って若干
のコメントを加えてみたい。

本書の特徴の第一は, キッシンジャーが邦訳書上巻の約半分を費やして、
中国の歴史を主としてその思想、対外関係の『特殊性』ないし『特異性』
に焦点を当てて記述している点であろう。即ち,『黄帝』から始まって、孔
子の調和論と儒教、各王朝に見られた統治原則の継続性維持、軍事要因よ
りも心理的・政治的要因に力点を置き、直接的な紛争を避け、戦争を『詭
道』とした『孫子の兵法』、『中國が世界の中心』とする世界観などの
『特異性』に言及して、アヘン戦争(『西欧列強が、必要ならば武力を使っ
てでも自分達の国際的な価値・行動基準を押付けようとした、典型的な紛
争』とみる)、更にロシア、日本の侵略に言及した後、第二次世界大戦後、
権威、無慈悲さ、支配力というような伝統と、旧習打破、近代化推進とい
う要因とを合わせ持った毛沢東をリーダーとする中華人民共和国か、本質
的には新王朝として、 中國史上初めて新たなイデオロギーを引っさげて、
新しい世界に船出したとする。
このようなキッシンジャーか中国史で取上げた特異性なるものの一部を要
約すると、その悠久の歴史的教訓から物事を判断すること、長期的戦略に
よる相対的な優位性の追求、自立更生、自給自足の独自性の主張、完全な
征服よりも調和を、直接的な勝利よりも心理的優位を狙い、更に西欧諸国
とは異なる自らの価値観を世界に広めようとはしないこと、などか挙げら
れる。
以上、中国史に見られた特異性の分析結果として、評者のみるところ、
キッシンジャーは、特に毛沢東の場合には、強い伝統維持と伝統破壊との
相反する二面性がみられたとする。即ち一方では、上記のような伝統的な
特異性を自らの思想として消化して、経済面では、結果的には失敗した伝
統的な自給自足主義を強行し、例えば外交面では、比較的弱い立場から、
長期的な目標を成し遂げるという中國の昔ながらの伝統を活用して、北朝
鮮(対米)、台湾海峡(対米)、ヒマラヤ(対印)、ウスリー川(対ソ連)、中・越
国境(対ベトナム)などを舞台として、自分よりも遙かに強い国々を相手に
引き起した干渉と攻撃とは、相当無謀な戦いであったにせよ、毛沢東とし
ては、どんな大国による包囲網でも防衛しようと決意し、実行したもので
あったとする。

他方、毛沢東は、キッシンジャーの表現を借りれば、『中國の伝統を破壊
し、その瓦礫を将来の近代化のために、建設資材として残し』た結果、そ
の後政治の実権を握ったとう小平(とうしょうへい)が、彼の読みの深い
先見性、執念、判断力で、所謂『中國の特色もつ社会主義』を実現するた
めに、この建設資材を徹底的に利用して、毛沢東思想のアンティ・テーゼ
として、中國の後進性を克服し、市場経済、非中央集権的な意思決定過程、
世界への解放を果たして、短期間のうちに世界第二の経済規模と最大の外
貨準備とを有する国に仕上げることにより、経済面の近代化、伝統思想の
打破は順調に進んだが、政治面では、所謂『天安門事件』の弾圧指示など
に見られたように、その所謂近代化は、後継者達に委ねられたという。
現状での中國の特異性に関する問題のもう一つは、『西欧諸国とは異なる
自らの価値観を世界に広めようとはしない』という根深い伝統であって、
換言すれば、『西欧の価値観の国内への導入も否定する』ことで、米・中
国交正常化以来屡々繰り返されてきちこの問題か、欧・米・日で大々的に
報道されるようになったのは、1989年の反体制派物理学者方励之の米国亡
命騒ぎからだった。この際キッシンジャーは、米政府に対し、『彼を政治
的に利用しないように』と忠告したそうだが、それ以上のことには言及し
ていない。そして、現在でも中国側は、その伝統を変化することなく、相
も変わらず同様のパターンが繰り返されている。

次の課題として、本書の『終章』で、今後における米・中関係について、
キッシンジャーのが展開している方向性の問題を、簡単に取上げたい。
即ちキッシンジャーは、本書全体で、米・中関係の過去、現在、将来につ
いて様々の局面から分析した結果として、世界的観点から、両国の平和的
共存を力強く提言しているのだが、このような考え方は、現在の米国内で
は、必ずしも全面的に受け入れられている訳ではなさそうだ。彼の表現を
用いると、米国人の少なからずが成功した『中国の台頭』を、太平洋地域、
更に世界における米国の立場と相容れないものと見做しており、米国的価
値観の世界的な普及こそが米国の義務であり、その実現のためには干渉も
辞さないという考え方が、特に、所謂新保守派の間で根強く、またネオコ
ンでなくても、米国人一般の世論として、依然、中国に対する違和感が強
いようだ。

他方中國では、2009年頃から一部政治・軍事指導者の間で、徹底した卓越
さと分析能力とをもった『勝利至上主義者』が出現しているという。その
主張は、豊かになってきた中國は、独自の価値観を保つ一方で、近代的な
軍事能力を駆使する段階に達したので、今や大国としての地位を世界に主
張すべきであるというような考え方で、同様の趣旨で出版された本(複数)
が政府の検閲を通過して、ベストセラーズになったそうだ。いまだ一部に
過ぎないとはいえ、中国経済の飛躍的成長の結果として当然生じる民族主
義、ないし覇権主義的高揚として、これらグループの今後の動向が懸念さ
れる。

キッシンジャーは、21世紀に入りこのように次第に生臭くなってきた米・
中対立関係の先鋭化について、20世紀初頭の英・独対立のケースと対比さ
せている。統一後のドイツが経済・軍事力を強化、台頭してきたのに対し
て、ヨーロッパ各国ではナショナリズムが高まり、外交はゼロ・サム・ゲ
ームに陥り、最終的には戦争になるだろうとしたのが、1907年に発表した
A.クロウという英国外務省高官の予測であった。
この問題に関するキッシンジャーの評価については、以下、誤解を避ける
ためにやや煩瑣になるが、本書からの引用を多用しよう。
『米・中関係は、ゼロ・サム・ゲームにする必要はないし、すべきでもな
い。…コンセンサスを得るのは難しいであろうが、こうした問題で対立す
れば、自滅を招くだけである』(P.567)。

『米・中は、自国民と世界の安寧、繁栄のために、『相互関係』(両国とも、
可能な領域では協力しながら自国の課題解決に取り組み、対立を最小限に
留めるようにお互いの関係を調整すること)の試みを実行に移すべきである。
どちらも、相手に支配されるには大き過ぎる。だから、どちらの国も、戦
争、または冷戦型の対立で勝利するための条件を明示することは不可能で
ある。米・中両国は、クロウの時代には公式には決して提起されなかった
問題、『対立すれば我々は何処へ行き着くのか』について、自問する必要
がある。…もし両国が衝突してしまったら、世界はどうなるであろうか』
(P.571)。

『現在の世界情勢における戦略的緊張の一側面には、米国が中国を囲い込
もうとしているとの中国側の懸念があり、これと平行して、中国が米国を
アジアから追いだそうとしているとの米国側の懸念もある。太平洋共同体
という構想は、米国、中国、その他の諸国総てが、共同体の平和的発展に
参加するというものであり、米・中両国の懸念を緩和する可能性がある』
(P.573)。 

現在の米・中関係の政治的緊迫度がどの程度なのかは、評者には分からな
い。何れにしても、日本の新聞を読んでいる限り、両国間では、軍事的緊
迫の度合いは強まっても、弱まることはなさそうである。それに輪をかけ
て、日本も一部の右翼系の人達は、対話を避けて、殊更に中国側を刺激す
るような方策を選択して、緊張感を煽っているようである。
キッシンジャーは、米・中関係には、昔から両国とも誤解するところが少
なくなかったが、両国の軍事的衝突は不可能という前提で、関係各国間で
話し合いの場を設けて、前向きの平和的発展方向を模索できないかという
彼の提言には、日本の政治家達にも耳を傾けてもらいたいものである。

 

・随想


『私の健康遍歴』

矢野寛市    

平成14年1月に前立腺ガンの手術を受けました。前立腺ガンの中では一番
良性のものでしたが、開腹してみて周囲のリンパ腺に少し転移していたと
の事で、余り長くは生きられないと覚悟しました。
1年位経ったころでしょうか、近所の本屋で新谷弘美という外科医が書い
た健康法の本を買ってきて読みました。新谷という人は、長らくアメリカ
の病院で内視鏡による大腸の検査をしていた人で、内視鏡によるポリープ
の手術を始めて行ったことで有名になったようです。
新谷医師は、患者の大腸の状態と食生活との関係を研究して、独自の健康
法を編み出しました。

それは、肉、牛乳、乳製品、ヨーグルト、卵を一切食べないこと、油を使
った料理は一切食べないこと、米は玄米にすることなどという厳しいもの
でした。また、人体に4,000種類ある酵素が人体にとって一番大事である
として、酵素を含む果物と生の野菜を摂ることを勧めています。酵素は熱
に弱く48度で死滅するので、野菜は生で食べることが必要だとしています。
また、食事は三食摂ること、魚は手のひら大の大きさのものなら可という
ことでした。食事の量については言及していなかったと思います。

私は新谷医師の本を読んで、直ぐから徹底して実行しました。私の食生活
の余りの変化に家内は呆れていました。元々家内は小食で、私とは別メ
ニュウの食事をしていましたので、その点は問題はありませんでした。
手術前後の私の体重は、64キロでしたが、食事を変えても体重は変わりま
せんでした。また、私は若い時から中性脂肪の数値が基準をオーバーして
いましたが、この数値も改善されませんでした。

平成21年の7月ごろでしたか、また近所の本屋で、石原結実の「ガンや
生活習慣病は体を温めれば治る」という本を見つけ、がんの再発を懸念し
ていた私は早速読んで直ぐ実行しました。朝は400グラムのニンジンとり
んご一個でジュースを作り、それだけで済ましました。昼はとろろ蕎麦だ
け、夜は玄米ご飯に魚、野菜といった食事です。
夜は腹一杯食べますが、朝起きてから夕食の時間になるまでずっと空腹感
があり、新谷法とは大きな違いを感じました。
友人の妹さんが、以前石原医師がやっている伊東のサナトリュウムの常連
だったことが分かり、妹さんから電話番号を聞いて直接サナトリュウムに
連絡して、一週間行くことになりました。

石原医師のクリニックで診察を受けるのは3年待ちだと聞いていましたが、
クリニックで半断食をする場合は、石原医師の診察を受けることが条件に
なっています。この辺りに幾ら忙しくても手を抜かないという石原医師の
良心を感じました。

丁寧な触診が終ったあと、私は四ヶ月で4キロ体重が減り、57キロとなっ
たが、もっと体重を落としてもいいのか、と尋ねましたところ、即座に
「大丈夫です。」という返事が返ってきました。
血液検査もしてもらいましたが、後日送られてきた検査表には石原医師が
赤字で丁寧にコメントが書き入れてくれていて、全ての項目について全く
問題なし、ということでした。 何十年も基準値を上回っていた中性脂肪
も基準値まで下がっていました。

サナトリゥウムにいる間は、三食共コップ三杯のニンジンジュースだけで
す。また、温泉とサウナにまめに入りました。その結果はというと、一週
間で体重は3キロ減って54キロになっていました。
昨年の二月には、体重が52キロまで減っていましたが、このころ今度は松
田麻美子の著書をよんで、「ナチュラルハイジーン」の食生活をやってみ
たくなりました。 朝は、従来どおりニンジンジュースだけ、十時ごろに
果物を2,3個食べます。昼と夜は、ご飯を食べる時は肉、魚を食べない、
肉、魚を食べる時はご飯を食べないというようにしましたが、1日おきに
食事が変わり、家内が面倒くさがるので、家にいる時は肉、魚は一切食べ
ないことにしました。生野菜のサラダは昼も夜も大きな鉢に一杯位食べま
した。

二ヶ月程経って、体重が49キロにまで落ちていることが分かり、聊か慌て
ました。植物性のものはカロリーが少ない精だろうと思い、果物と野菜を
食べる量をもっと多く食べるようにしました。ナッツ類も食べました。
ところが今度は下痢が続いて止まらなくなりました。果物、野菜の量を減
らすと、下痢は直ぐ止まりましたが、量を増やすとまた下痢になるという
ことを暫く繰り返していました。

2010年の11月頃、八丁堀でクリニックを開業している鶴見医師の本に出会
いました。基本的にナチュラルハイジーンの考え方に立ち、酵素法も取り
いれて治療しており、私と相性がいいと思いましたので、12月に鶴見クリ
ニックの診察を受けました。
代替療法を主体にしているので、自由診療です。初診料は二万円でしたが、
一時間余り、ディスプレーを見せながら様々な話しをしてくれました。私
が体重が果物と野菜で減った話をしましたら、それは化学肥料を使った農
業に問題があるとして、有機野菜を食べるように勧め、有機野菜を作って
いる農家を何軒か教えてくれました。驚いたことは、棚にサプリメントの
チラシがぎっしり置いてあり、10種類くらい勧められたことです。折角だ
からと思って全て買って飲むことにしましたが、代金は8万円程になりま
した。

良かったのは、血液検査の項目が50項目もあったことです。松戸市の定期
健診の血液検査の項目は10しかありません。
中には免疫力の数値とか、カリュウムとナトリュウムの割合とかがありま
した。それまでの勉強でこれらの数値の重要性が分かっていたので、参考
になりました。面白かったのは、毛細血管を流れる血液の状態を調べる検
査をしてくれたことです。機械に指先を入れると、毛細血管の状態と血液
の状態がディスプレーに映し出されます。

私の場合は、毛細血管がピンと立ち、血液が勢いよく流れていました。
それを見た鶴見医師は「矢野さんの健康状態は良好です!」と断言してく
れました。後から送られてきた血液検査の数値を見ると、コレスレロール、
中性脂肪などが大幅に改善されていました。
鶴見医師が作ってくれたレシピに従って一月の間、一週間に二日半断食を
し、サプリメントも全て飲みました。サプリメントの中には、消化吸収力
を増すためのようなものもありましたので、断食をしていない時は肉や魚
も食べました。
この結果、体重が52キロまで回復しましたので、お金が掛かることもあり、
鶴見クリニックには行くことを止めました。
数年前から松江で蜆を採っている漁師の奥さんと健康情報をメールで交換
するようになりました。この女性は若い頃に膠原病に罹り、一時は死を覚
悟したようですが、パソコンを習得し、ネットからあらゆる健康情報を引
き出して、色々実践してみて、ある健康法により、遂に膠原病を克服した
という大変根性のある人です。私はこの人からがんの問題とか色々健康情
報をもらいましたが、ある時西式健康法で治療している甲田光男の本を薦
められました。以前、西勝蔵の本は読んでいましたが、余りにも厳しい健
康法なので、そのときは実行する気になれませんでした。
甲田医師は西式をさらに改良し、関西で40年間甲田医院を開業し、数多の
難病患者を救ったようですが、それはともかく、甲田療法による食事は、
生の玄米と野菜のみ、一日二食で、カロリーは800から900キロカロリー
に過ぎません。

患者は始めのうちはどんどんやせていき、女性などは35キロ位にまで体重
が落ち込むようですが、やがて横ばいになり、更には増え始めて元の体重
をオーバーするようになるそうです。そこで摂取するカロリーを一日500
キロカロリーに落とすそうですが、それでも太るので、一週間に一度断食
して太らないようにしているそうです。
池上にある松井病院の食養内科部長であった日野厚医師が書いた本にも同
じような話が出ています。

鎌倉の禅寺の十数人のお坊さん達は、精進料理を食べているので、一日の
摂取カロリーは1,400キロカロリーに過ぎませんが、毎日消費しているカロ
リーは2,200キロカロリーだそうです。明らかにに計算が合わないけれども
事実だそうです。この二つから類推すると、人類は飢餓の歴史であるので、
飢餓状態が続くと、人体が少ないカロリーに対応できるようになるのでは
ないかと思われます。
これらのことから、長い間疑問に思っていた謎が解けたように思いました。
それは、石原医師は超人的な活躍をしていますが、15年ぐらい前から、一
日一食しか食べていないと聞いていました。夜の食事も好物はいか、たこ、
かにの類だそうですから、どうみても摂取しているカロリーは左程多くは
ないはずです。

石原医師の場合も長らく小食を続けた結果、燃費効率のいい体に変わって
いるのでしょう。
これらのことを知ってから、私も果物と野菜だけの食事でも食べる量を随
分減らしました。その結果は下痢することもなくなり、体重も52キロで安
定するようになりました。私の摂取カロリーは1,000キロカロリーほどでは
ないかと思っていますが、スタミナは全く落ちませんでした。
便通は、以前は一日1回でしたが、この頃から一日3回になり、いつもす
っきりした気分でいます。 なお、西式健康法は二つ取り入れて実行して
います。一つは体操です。これは容易に実行できるので続けることにしま
した。もう一つは板の上に寝ることです。布団は体の熱を奪うのでよくな
いそうです。板の上に寝ると、よく温まります。唯、甲田医師は真冬でも
身に何も纏わないで寝るそうですが、私は真夏以外は掛け布団を掛けて寝
ています。

私は長い間不眠症に悩まされてきましたが、最近はストレスがない生活を
心がけている精もあるかもしれませんが、殆ど毎晩熟睡できているので、
一日中体調がよく、頭も冴えているような気がして幸せな気分で過ごせる
ようになりました。
低山登山もやっていますし、健康に自信が持てるようになりましたので、
市の健康診断は、ガンの検診も含めて全部受けないことにしました。
福島の震災の後、放射線問題を勉強している中で、「放射線ホルミシス療
法」という治療法があることが分かりました。この治療法を前立腺ガンが
骨に転移した学校の先輩に薦めましたが、無責任なことは出来ないと思い、
私自らこの治療法を受けてみることにしました。
8月から市ヶ谷にある健康増進クリニックに毎週通い、6回ほど通ったと
ころで院長が保証したとおり、心身共に若返ったように感じました。その
後も月に一度このクリニックに通い続けています。

このクリニックのラドンルームは室内の温度が38度に保たれており、一時
間ほどの間に相当の汗が出ます。若しかしたら、温熱効果によって私の体
調がよくなったのかも知れません。後で分かったことですが、東電の副社
長で原子力委員でもあった竹内和夫という人が、糖尿病を治療するために
自宅にラドンルームを作り、糖尿病を克服したそうです。また、渡部昇一
さんも自宅にラドンルームを作り、家族共々始終利用しているそうです。
10年の長きに亘って動物性食品の摂取を抑えてきた私ですが、今年に入っ
て180度食生活が変わりました。きっかけは昨年の10月頃、日経に桐山秀
樹「糖尿病治療の深い闇」という本の広告が出ているのを見て買って読
んだことです。従来の糖尿病の治療は、摂取カロリーを制限すると共に、
炭水化物を6割、脂肪、蛋白質をそれぞれ2割にするというもののよう
です。桐山さんは人に勧められて、京都の高尾病院の江部理事長の本を
読み,「カロリー制限法」とは逆に脂肪、蛋白質をメインにし、炭水化
物の摂取を抑えたところ、糖尿病が劇的に治ったというものです。

実は、一、二年前に糖尿病の専門医である牧田善二が書いた「糖尿病患者
はご飯よりステーキを食べなさい」という本を読んで、血糖値は摂取する
食品に左右されることは知っていました。念のために江部医師の本を読ん
だところ、江部医師は糖質を制限して糖尿病を治療する方法を、宇和島で
開業している釜池医師に教わったことが分かりました。念には念を入れて
釜池医師の本も読んだところ、釜池医師はアメリカでベストセラーになっ
た「ローカーボダイエット」「シュガーバスター」という本からヒントを
得て,独自の代謝理論を確立したことが分かりました。そこでまたこの二
冊の本も手に入れて読みましたが、60年も前に、イギリスの三人の医学
者が“炭水化物の摂取を控えれば痩せることができる”という研究結果を発
表していることが分かりました。

人がエネルギーを得るための、代謝には糖質代謝、脂質代謝及び蛋白質代
謝の種類があり、その内糖質代謝ガメインであることは今でも医学の定説
になっています。糖質代謝に代わって脂質代謝をメインにするということ
は食生活の革命というべきでしょう。人類は農耕を始めた一万年前から安
定的に食べ物を得るため止むを得ず人類本来の主食ではないものを主食に
してきたということでしょうか。主食でないものを主食としてきた咎めが、
戦後豊になって白米や砂糖を存分に食べられるようになってメタボという
形で出てきたということでしょう。 糖質の割合が高い食品を極力避け、
動物性食品をメインにするようになってから、はや8ヶ月経ちましたが、
体調は以前にも増してよくなっています。嬉しいことに先日主治医からも
う前立腺ガンの検査に来る必要はないと言われました。動物性食品を大量
に摂取してもPSAの数値は上がらなかったようです。私の病気との闘い
も漸く終ったという思いがしています。

ガンは部分病ではなく全身病であるといわれています。代謝が問題のよう
です。血液の数値や血圧などに問題がある人は薬で一時凌ぎをすることな
く、食生活を変えて代謝を良くし、免疫力を高めて健康を磐石なものにし
ておくべきです。
なお、糖質制限食については、少し前に「評論の宝箱」に載せた私が書い
た書評を参考にして下さい。

 

 

ご要望にお応えして、ジャンルを定めない自由評論コーナ ー【私の一言】を設けました。 評論の評論はもとより、社会評論等自由なご意見をお届けします。

『危機に際して誰が働くのか』
岡田桂典

  
 
  福岡市に住む松本孝さんは戦前から市の中心の春吉に住んでいました。
空襲が激しくなってきましたが、父君は黒田藩に仕えていた先祖から受け
継いできた春吉の家と町、奉職する春吉小学校を“敵の攻撃“から守るのは
自分の責務だと疎開は一顧だにしませんでした。昭和20年6月ついに大空
襲が始まり、焼夷弾の炎が空を赤く染め始めると、まず家を守って類焼を
防ぐために避難していた河原から父親は一家を率いて自宅に駆け戻りまし
た。木造家屋では燃えている焼夷弾を瞬時に消さねばなりません。布団や
座布団が用意されており国民学校4年生9歳の孝さんも4〜5本の焼夷弾
に飛びついて消したそうです。自宅からの類焼がないことを確認後、父君
は学校に、兄たちは近所の火消しに走りました。

この話を御紹介したかったのは、今の世の中、多くの方がやるべきことは
主張しますが、では誰が、どう実行するかについては語らぬ事です。松本
さんは自分の責務を語ると共に、実行すべき時が来ると危険を顧みず9歳
の子を含めて一家で立ち向かったのです。
原子力発電の必要性を強調される方々に聞きたいのは、では原発で今後誰
が働くのですかという事です。友人の元電気屋さんが、今の大学の電機学
科では「重電」を学ぶ学生が足りないと憂いていました。学生にとっては
新しく、魅力ある新分野があまりにも多いのです。それに最大の障害は母
親だそうです。

今や母親にとって男の子は一人、「重電」は危険で汚い仕事だと大反対し、
電子工学とかソフトウエアがカッコ良いと子供に進めるようです。原発は
どうでしょう。5〜60歳代の女性は70%が原発反対です。僻地で逃げ道は
一本などという原発に可愛い一人息子を働かせるか、結論は明白でしょう。
尖閣に来る中国船は追っ払えと気楽にいう方がいますが、海上保安庁では
団塊の世代がごっそり退職して巡視艇には女性が増え、不足人員の補充と
訓練の為に多くのOBが働いているのが現状だそうです。国を守れ、自衛
隊を南の島に派遣しろというのは自由ですが20歳代の青年はピークの60
%しかいません。母親の気持ちは原発と同じだろうと思います。
原発推進、自衛隊や巡視艇増強を国のためだと主張する方々に対しては、
冒頭の松本さんのサムライの精神で他人の子を動員するのではなく、まず
自分の息子や孫を働かせろと言いたいのですが皆さん鼻白むだけでしょう。
現実にはどうするか。主張される方々は自分の収入の半分は出す、不足分
は国民に負担をお願いして、原発の研究や運転、自衛隊・巡視艇の乗組員
で南方で働く方々の給与は3倍にすると言った思い切った施策が必要では
ないでしょうか。
 
             

 

 


介護が必要なく自立して元気に過ごせる期間の言葉として、健康寿命と
いうのがあります。
厚労省によると2010年の男性の健康寿命は、70.42年、女性は73.62年で
あり、平均寿命との差は9.13年、女性は73.62年で差は12.68年あること
になります。
日本社会の少子高齢化が進む中、この年差の縮小は、ますます重要な課
題です。このため、厚労省では、生活習慣病の予防や心の健康に関し53項目につ
いて目標(健康日本21第2次計画)を定めました。たとえば、食生活で
は,1日当りの食塩摂取量は8g、野菜の摂取量は350g、運動では、1日
平均歩数目標を9,000歩とするなどです。これは国民全体の目標ではあり
ますが、現在の社会制度からすれば、高齢者が健康寿命を一段と意識し、
率先垂範により目標達成に臨むことが期待されているように思われます。今号も貴重なご寄稿をいただきありがとうございました。(H.O)


 





 
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