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2004年11月1日 VOL.21

■書評
・『実践 料理のへそ!』― 今村 該吉
・『絵具の辞典』― 矢野 寛市

【私の一言】『時代の流れ』 川井 利久

 

 

『実践 料理のへそ!』
著者:小林カツ代  出版社:文春新書

今村 該吉 
 定年退職して、朝から晩まで家でごろごろしていると、大抵奥さんに嫌がられる。
理由は朝、昼、晩と3度3度食事の支度をさせるからだ。亭主が会社に行っているときには、昼食は残り物で済ませたり、友達とファミリーレストランでおしゃべりをしながら過ごせたのに、そんなわけにはいかなくなる。外出の都度「どこに行くのだ、俺の昼飯はどうなっているのだ」と問いただされれば奥さんとしてはたまらない。
「主人が家にずっと居てごらんなさい。ノイローゼになりそうだわ」
定年退職後、夫婦が円満に暮らす第一の秘訣は夫が進んで家事をすることである。少なくとも簡単な朝食や昼食は奥さんが居なくてもひとりで何とか作ることである。それならば自分が食べたいものを自分で選んで食べられるのだから、一石二鳥である。
著者の小林カツ代氏はテレビにも時々出るので、ご存知に向きも多かろうが、顔も体型も、料理の仕方も庶民派であり、決してフランス料理家のように気取ってはいない。目次には秋刀魚の塩焼き、ハヤシライス、ハンバーグ、たらこスパゲティ、オムライス、きんぴらごぼう、そうめんなどなど。食べたいものがずらり。それがいとも簡単にできそうだ。
「目玉焼きだけは!弱火です」の項を読んで、早速ハムエッグを作ってみた。ハムも卵の白身も焦げ付かずに、真ん中に黄身がふんわり浮かんでいる。まるで帝国ホテルの目玉焼きのようだ。ウーン!旨い!


『絵具の辞典』
ホルベイン工業技術部編  出版社:中央公論美術出版  

矢野 寛市  
 ある画家によると、絵を描く時大事なのは、第一に形、次が明暗、最後が色ということであるが、私は、色が一番難しいと思う。色について勉強している内に、絵具自体について知りたくなったが、油絵の技術書には余り書いてない。“絵具のメーカーは、絵具のデータを公表すべきではないか”等と思ったりしたが、最近この本をみつけて早速購入したしだいである。
 この本には、ホルベイン工業製の絵具について、使用原料名などが記載されているほか、《使用上のポイント》と《注意点》が併記されており、これ等に、絵を描く者にとって極めて貴重で有難いヒントが書かれている。
 [編集後記]に、“絵具の各色の解説は、色の表現、使用感、特性など一般的には数値で表現されることが多い。確かに数値による記載は能率的であっても、大変無機的な感が否めない。そこで本書はできるだけ文章による表現を取り入れて、極力解りやすく暖かみのでるように配慮したつもりである。”とある。〈いい仕事をしていますね〉という賛辞は、この本にピッタリである。





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『時代の流れ』
川井 利久
 街を歩いていて目につくのは中高年の女性達の楽しげな笑顔と同年齢の男性の暗く孤独なひとり歩きである。彼女たちおばたりあんは至る所に群れをなして出没しては街の活気を創出している。デパート、劇場、音楽会、レストラン、美術館、新幹線、観光地、空港、海外旅行の大半を占拠してのし歩いている。
 世の中には同数のおじたりあんがいるはずなのにどこにいるのかあまり見かけない。戦後の民主化教育はそれ以前の千年近く続いた男尊女卑社会を徐々に変革し、また家庭内労働の機械化によって女性に余暇を与えた。男共は縦社会の歯車に組み込まれ、高度成長社会の奴隷として精気を抜き取られていった。
 女達は教育の機会均等を獲得し、家庭に入ってては十分な時間と夫不在の家庭経営に腕を磨いて、少子化傾向もあって元気いっぱいのおばたりあんになっている。
 今の日本を動かしているのはおばたりあん達ではないだろうか?家にあっては定年でふぬけ状態の亭主を叱咤し、住宅建設、教育問題、食事、医療、衣料、化粧、娯楽、文化教養、旅行などあらゆる産業の需要構造の原点を支配している。
 今や彼女達の需要動向を無視しては企業の成長はありえないのではないか。そこでこのたび“おばたりあん生態分類学”なる学問を立ち上げることにした。人文科学研究所に登録して学問として認知してもらうことにした。文部科学省は認めないだろうが、産業界は共同研究参加を熱望するだろう。
戦後から時代は女の時代に変わってその流れはしばらく続きそうである。






 
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