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■2008年11月1日号 <vol.117>
書評 ─────────────

・書評  板井敬之 『ジャーナリズム崩壊』
            上杉 隆 幻冬舎新書
・映画評 佐藤広宣 『硫黄島からの手紙』
            〜(監督クリント・イーストウッドは天才だ!!)

・【私の一言】岡本弘昭『推譲(すいじょう)』ということ






2008年11月1日 VOL.117


『ジャーナリズム崩壊』
著者上杉 隆    出版社:幻冬舎新書
   

板井 敬之  

 この本は、朝日新聞の書評に取り上げられていたので、読んでみた。著者の上杉 隆は、「官邸崩壊」で安倍政権の内幕を書いたフリーのジャーナリストである。

 著者の主張は、わが国のジャーナリズムが記者クラブ制度により如何に毒されているか(“楽”をしているか)、例を上げて明らかにし、今のまま記者クラブ制度を続けるなら、早晩国際的にも立ち行かなくなるので、“記者クラブの開放”と“クラブ記者の解放”を実現することにより、世界のジャーナリズムへの仲間入りをすべきだというもの。

 EUが「日本の記者クラブは情報を独占、非関税障壁に当る閉鎖的な組織である」として毎年のように非難決議を採択していることや、“時の人”を招いて鋭い質問をすることで名高い日本外国特派員協会が、相互主義に基づく記者クラブの開放を求めて抗議を続けていること等報道されていない事実も明らかにされている。記者クラブが置かれている官庁や自治体に対し、家賃・光熱費等を支払っていないなら、官製報道中心となろうことは容易に想像がつく。ジャーナリズムはその職能上、問題を起こした組織等を手厳しく非難するが、自らの行動については然程でもないようだ。記者クラブというのは一種の談合組織で、ジャーナリズム本来の機能を蝕んでいる。   
新聞やテレビの実態が分かる良書と言ってよいと思う。

 


映画評『硫黄島からの手紙』
監督 クリント・イーストウッドは天才だ!!   

佐藤 広宣  


 先日、旅先の札幌のホテルで、思いがけず、映画「硫黄島からの手紙」を観ました。
本当は、北大植物園に行くつもりだったのですが、朝から、予想外の雨が降り出し、やむなくホテルで映画を観ることにしたのです。近年公開の洋画メニューの中から、選んだのが、「硫黄島からの手紙」。
 映画『硫黄島からの手紙』は前作『父親たちの星条旗』と一対を成す、メ硫黄島2部作モの第2弾。同じ硫黄島の激戦というテーマの戦争ドラマを、日米双方の違う視点から描いたという、映画史上初の試みです。

 『父親たちの星条旗』は映画館で観て、感銘を受けました。この時、『硫黄島からの手紙』の予告編を観ましたが、良さそうな映画だけど映画館に出向く気はしないと思いました。米軍を硫黄島に極力足止めして本土決戦を遅らせる穴ごもりの篭城戦で、最後には玉砕するという戦争映画は、惨めったらしくて、観たくなかったからです。

 そんな経緯から、思いがけず観た「硫黄島からの手紙」ですが、立派な映画で、戦争映画の名作として、歴史に残る映画と思いました。「硫黄島からの手紙」は日本側から描いていることもあり、全編のセリフは99%日本語で、まるで日本映画の雰囲気です。

戦闘シーンは迫力があり、戦争の無惨さも的確に描写。日本軍の複雑な内部事情、当時の日本国内の「銃後」の雰囲気などを見事に描ききっています。
 テレビ西部劇「ローハイド」やマカロニ・ウェスタンで人気者になったため、クリント・イーストウッドは過小評価されがちです。しかし、映画監督としてのクリント・イーストウッドは、まったく別のタイプの映画の秀作を次々に製作しており、天才だと思います。

 クリント・イーストウッドの業績を、インターネットで調べて紹介しようと思ったところ、早速、「イースト・ウッドの館」というとっても面白いサイトを見つけました。暇な時に、下記アドレスをクリックして、お楽しみ下さい。
http://muyan.hp.infoseek.co.jp/cinema/muyan/

 




ご要望にお応えして、ジャンルを定めない自由評論コーナ ー【私の一言】を設けました。 評論の評論はもとより、社会評論等自由なご意見をお届けします。

『「推譲(すいじょう)」ということ』
岡本 弘昭

 日本は明治維新以降、欧米の合理主義精神を吸収し経済大国にまで発展してきた。  しかし、この合理主義の経済社会システムの偏重は、近年、利益第一主義を推し進め、「大量生産、大量消費、大量廃棄」を生み、「モラルよりモノ・金」を優先させ、個人主義が跋扈し、資源の浪費、食料自給率の低下、環境破壊、家庭・地域の軽視、企業の犯罪等を噴出させていると思われる。

 このような時期であるだけに、道徳と経済一元化を説いた二宮尊徳の思想が注目される。この思想は、自分の利益や幸福を追求するだけの生活ではなく、この世のものすべてに感謝し、これに報いる行動をとることが大切で、それが社会と自分のためになるという考えである。この行動基準の一つに推譲というのがある。これは、各人の生活の中から生み出した余剰、余力の一部を将来のために自譲(自分のために使う)、他譲(人のために使う)することを意味する。つまり、各人が分に応じ自譲、他譲により相互扶助、国づくり等を進めれば、個人も社会も、経済的にも精神的にも豊かな結果を得て、それは自分に還元されるという成功サイクルの考えである。道徳と経済が調和・融合する社会の実現を目指すという考えである。

 最近の無差別殺人や、親殺し、子殺しといった日本の社会現象は、合理主義中心の経済社会システムによる個人主義の跋扈の帰結である。現代の日本は、より良い明日のために自譲、他譲を問わず推譲の精神による道徳と経済のバランスを必要としている。早々に実践しバランスを取りたいものである。






“過去に起きたことは必ず未来にも起きる。”というのは地球の格言だそうです。そのため現在の地球温暖化の未来への影響も、過去を調べて対応を考えていく必要があるという意見があります。また、世の中の事象は螺旋的に発展しており、同じような現象は繰り返されているという考え方もあります。

最近の世界の政治・経済を含む諸情勢は、歴史の変わり目が来ていることを示しているかのように思われますが、これからどういう方向に行くのか。その予見には、改めて歴史を振り返ってみる必要があると考えられます。

今号も有意義な書評、映画評を、まことに有難う御座いました。(HO)








 
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