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■2011年2月1日号 <vol.171>

書評 ─────────────

・書 評    福島 和雄 『ヘンな言葉の通になる』 
              (得猪外明著 祥伝社新書)

・映画評   浅川 博道 『信さんー炭鉱町のセレナーデ』 

・【私の一言】 クレア恭子 『 ロンドン便り(11)- V.A.T. は20% 』


 



2011年2月1日 VOL.171


『ヘンな言葉の通になる』 
(得猪外明 著、 祥伝社新書)

福島 和雄   



頭が「ガンガン」する。胃が「キリキリ」痛む。胸が「ムカムカ」する、と言うような擬音語をフランス語ではオノマトペ、英語ではオノマトピアと言う。著者はこの繊細かつ微妙な表現ができる日本語の擬音語、擬態語を詳しく説明している。一つの例として次のような「オノマトペ」が使われている文章を紹介している。

朝、目が覚めると頭が「ガンガン」して胃が「ムカムカ」する。裸で寝ていて風邪をひいたか、体が「ゾクゾク」する。夜は「ジャンジャン」横丁で仲間とビールを「ガブガブ」飲んで、「ブツブツ」「ウダウダ」と上司の悪口。彼女からメールが来て「ニヤニヤ」していたら、それを見た妻は「カンカン」に怒ったという。

「オノマトペ」はあまり聴き慣れないが擬音語、擬態語を意味する外国語で、語源は「命名する」というギリシャ語に由来する。「オックスフォード英語辞典」によると英語では「音の模倣によって物事や動作を命名したり、それによって言葉を作ったりすること」と定義されている。
著者はこの「オノマトペ」を
第1章 究極の日本語、オノマトペ
第2章 オノマトペの使われ方
第3章 謎の言葉、日本語はどこから来た
第4章 表現の世界には欠かせない“ヘンな言葉”
第5章 外国語に出てくるオノマトペ
第6章 ヘンな言葉の語源を散策する
と、詳しく説明している。
私はこの本を読んでとても面白く、そして楽しかった。大学の先生が書く文章と違って読みやすい。

著者、得猪外明氏は1937年石川県金沢市で生まれ、金沢大学を卒業後、日本鋼管に入社、ナイジェリア合弁企業、ニューヨーク事務所など仕事で世界を巡るうちに、オノマトペの魅力にとりつかれ、研究を重ねた。ほかの著書に「コケコッ考」「ガラガラドシーン」などがある。現在、神田雑学大学理事である。

 

『信さん ー炭坑町のセレナーデ』 
(監督:平山秀幸  主演:小雪)

浅川 博道   


映画を取りあげることに、いつも戸惑いがある。上映時期や話題性も気になるが、映画館に足を運ぶ人が減少一方という現実が最大の理由である。されど、映画から多くの感動や勇気をもらってきたものには、映画への熱い思いがある。映画が持つ力を信じ、話題作ではないが、心にしみる作品を紹介したい。

昭和38年、九州のとある炭坑町が舞台。小学生の息子・守を連れた美智子(小雪)が、故郷であるこの町に戻ってくる。町の人々から好奇の目で見られたり、守は悪ガキのイジメにあう。その時悪ガキを負かして救ってくれたのが少年・信さん。信さん、実は札付きの厄介者扱いされているが、美智子と守はやさしく接する。成長していく信さんにとって、自分を信頼してくれる美智子は、母親のようでもあり、淡い恋心のようなものも芽生える。月日は流れ、炭坑で働く信さんが大きな落盤事故に巻き込まれるところで物語は幕を閉じる。

淡々とした人間ドラマであるが、そこに描かれているのは、今の社会では忘れられつつあるものだ。貧しくても明るく肩を寄せ合って暮らす家族。流行語ともなった無縁社会とは正反対のおせっかい社会。しかし、ノスタルジアだけでは「あのころ族」になってしまう。過去に戻るのではなく、自分の置かれた立場でこれから何をしたらよいのか。その問いをつきつけられている感じがする。

ところで、地域のにぎわい創出に映画を生かそうという動きが各地にある。映画に魅力を感じ、映画が持つ力を生かしたいという思いを抱く人たちの輪がさらに広がることを、心から願っている。

 

 

ご要望にお応えして、ジャンルを定めない自由評論コーナ ー【私の一言】を設けました。 評論の評論はもとより、社会評論等自由なご意見をお届けします。

『ロンドン通信(11)  V.A.T. は20%』
クレア恭子

英国のV.A.T. (消費税) は国の経済情勢に合わせて しばしば変化してきました。

リーマン・ショック後の2008年12月1日、17.5%が15%に引き下げられました。2010年1月に17.5%が復活し、選挙戦中はどの政党も 「VATの引き上げはしない。」と宣言したにもかかわらず、連合政権は6月に緊急経済政策の一環として2011年1月4日より消費税を20%へ引き揚げると発表しました。

EU諸国の消費税は、スペイン18% ドイツ・オランダが19%、フランスは19.5%ですがイタリアとオーストリアは20%、ベルギー21%、フィンランド23%、スエーデン・デンマークは25%ですから、赤字対策として仕方ない、と国民は受け止めたようです。労働党は ’悪い時期の無意味な増税‘と非難していますが あまり迫力がありません。

半年の予告期間中、業者は‘消費税値上がり前に’を唱えて 購買欲そそる宣伝を続け、クリスマス前から大売出しを開始、電化製品や自家用車等の高額商品は売り上げを大幅に伸ばしました。 レストランの中には値上げをせずに料理の量を減らす、と宣言したところもあります。ただ税率以上の便乗値上げも多く、ガソリンを始め生活用品や土地・家屋の売買も影響を受けますから、国民の暮らしは苦しくなります。

旅行者への影響はポンド値下落でほとんどありません。さらに旅行者へはVATの還付という恩典があります。最近のヒースロー空港のVAT係り前では東洋人が長蛇の列を成しています。タイムズ日曜版によると‘Harrods, MulberryやBurberryに中国人の富裕層がグループで押しかけ、ロシア人、アラブ人をしのぐ購買力を示している’とか。 当然、旅行者優遇措置廃止の声が上がっています。

2011年の英国は各種の経済立て直し策がいよいよ実行に移される年です。失業者は増加するが国の補助は減ると暗い予報しかありませんが、皆で乗り切ろう、乗り切れる、と明るい論調なのは4月29日に予定されているWilliam皇子の結婚式のお蔭で祭日が一日増えるから。さらに 政治家・政府頼みではなく、ジャーナリスト・有識者が国民と共に‘どんな国にすべきか’を 絶え間なくいろいろな角度から検証し、理解を得る努力をしているからだと思われます。

 

 

 

 

年初の第88回箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)は実に見せ場が多かったと思います。往路の第五区での逆転劇もありましたが、見せ場は、第6区の転んだ後の再逆転劇であり、さらには第10区の國學院大學の選手が道を間違えた後の頑張りでシード(予選免除権)入りを果たしたことではないかと思います。
これを見た知人の会社社長は、同社の今年のモットーを”転んでも一位、道を間違えてもシード権入り”としたそうです。その心は成せばばなるです。
昨今、スポーツをはじめ色々な局面で日本人は精神力が弱いのではないかと言われているようですが、このテレビを見ながら満更でもないとも思いました。
日本の政治も経済も頑張って貰いたいものです。

本号も時宜を得た、多面的なご寄稿をありがとうございました。(H.O) 






 
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