英国で連合政権が発足して5月で1年経過、前労働党政権が残した大財政赤 字解消の各種政策を発表しては、変更を余儀なくされ 実施が遅れている。
首相は‘国民の言葉を拝聴し、学びながら歩んでいる’と強気の説明。
ただ予定している財政再建は遅々として進んでいない。
大学の年間授業料を£3,000から最高3倍の£9,000へ引き上げ可能と昨秋政府が提案した時 若者中心の大規模な抗議デモが全国で続いた。ロンドン
ではチャールズ皇太子夫妻が車で公式行事出席途上にデモ隊一派に巻き込ま
れ、たまたま開いていた窓から棒でつつかれる、という一幕があった。
実施予定は2012年9月入学者からである。
政府は‘学生ローン’の返済条件を改定し、卒業後年収が£21,000(現行は£15,000)以下であれば返済不要と説得。財政再建どころか将来のブラック・ホールとの声がある。
NHS:国民医療制度の改革は保守党が民間競争原理の導入を推進、予算管理をGP:家庭医へ委ねて患者に最適の治療を選ばそう、としたが、多くの医療従事者は商業主義の会社や機関に牛耳られる恐れあり、と同調せず再検討となった。
混雑している刑務所の費用削減を狙って、刑の軽減を提案した法務大臣は被害者、特に暴行被害者への理解に欠けていると非難を受け、やり直し。
福祉政策の見直しは庶民の賛同を得ているものの、住宅補助の急激な引き下げは都会に貧民街を作ってしまう、とか、非婚女性への不当な差別は許せない、とか意見もあり、具体策不明。統計によると現政権設立後創設された雇用の87%が移民に占められているそうである。
確かに周囲の店ではナマリのきつい英語が飛び交う。大臣が‘英人を優先的に採用しよう’と発言した時、庶民は喜んだが、雇用者側に‘移民の方が意欲あり教育あり優秀’と反論され、EU法にも抵触する、と実現は困難な模様である。自民党所属のエネルギー大臣が、グリーン・エネルギー政策を発表したのは6月。原子力発電を是認し 今後8箇所の建設を推進する、との案に、かつて原子力反対だった自民党最大のUターンとマスコミが騒いでいる。また実現できない新政策か、と状況を見守っている。
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