■2009年9月15日号 <vol.138> 書評 ───────────── ・ 書評 前川 彬 『老年学に学ぶ サクセスフル・エイジングの秘密』 山本思外里 著 角川学芸出版 ・ 書評 船渡尚男 『江戸の遺伝子』 徳川恒考(18代)著 PHP ・【私の一言】川井利久 『恵まれた時代』
2009年9月15日 VOL.138
『老年学に学ぶ サクセスフル・エイジングの秘密』 著者:山本思外里 出版社:角川学芸出版
『江戸の遺伝子』 著者:徳川恒考(18代) 出版社:PHP
私の子供の頃は食べる物がなく、着るものなく、住む家がなく、読みたい本がなく生きるのに親子ともども必死であった。やっと手に入った1個の卵を6人の兄弟で分けて各自のご飯に等分にかけるには200回もかき回して,黄身と白味が完全に混じるまで交代でやって喜んで押し頂いたものだった。 野球をするにもグラブがなく、不器用な母親がボロ切れで作ってくれた 手袋で恥ずかしくやったものだった。しかしいつも腹を空かせており、辛くもあったが何か生きる喜びがあった。 今の子供たちを見ていると、飯は残す、好き嫌いが多い、テレビやファミコンにかじり付いて集団で外で遊ぶことがない。顔色も生っちょろくて,元気がない。低学年から塾通いでくたびれている。 この恵まれた時代に何か狂っている。そして大人になっても閉塞感と競争社会が待っている。折角戦後の焼け野原から日本を甦らせて、やっと先進国の一隅に座ったのに、若者たちに未来への明るい展望が見あたらないとはどういう事か。 日本は資源がなく、領土も狭いなかで人材のみが頼りの国である。 さすれば命の綱は教育である。過去の傑物の人生を紐解くと多くの場合、幼少時の不幸乃至辛酸がある。しかるに現代の子育ては幼児期の甘やかしと思春期の放任で子供の育成が不全になっている場合が多い。“三つ子の魂、百まで”は真理である。そのころの幼児はかわいい。 つい甘やかしたくなる。ユダヤの家庭ではそのころの幼児を親が手から落とすそうである。そして親でも信用してはいけないと言う事を身をもって感じさせるそうである。 教育立国しかない日本は、医学的心理学的教育学的分析を駆使して、人間の性格形成のタイミングとそこに与えるべき教育(しつけ)をボーリングしてあるべき幼児教育のバイブルを作る必要がある。保育園の拡充もその一つだ。その上に小学校〜大学教育の再構築を行い、日本人の人格の国際競争力をレベル・アップすることが大切である。 子や孫たちに明るい楽しい未来を歩んで行かせたいためには、家庭、学校、社会全体の緻密で統一のとれた、それでいて全体主義にならない教育体系が必要である。
民主党政権がスタートしました。組織とか制度というのは、30年〜40年で疲弊するそうで、日本の諸制度の多くは見直しを必要としている時期と思われるだけに、新政権による変革が期待されます。 この中には、高齢化社会問題、教育問題、社会性等もあります。今号はこれらにも関係する書評、意見を掲載させていただきました。 ご寄稿有難う御座いました。(HO)
2005/03/01
2004/12/01