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■2009年2月15日号 <vol.124>
書評 ─────────────

・書評    石川 勝敏  『大阪地名の由来を歩く』
              若一 光司著  ベスト新書
・書評    桜田 薫  『政治と秋刀魚』 
              ジェラルド・カーティス 日経BP社

・【私の一言】 幸前 成隆 『フロム・ナウ・オン』






2009年2月15日 VOL.124


『大阪地名の由来を歩く』
著者飯若一光司    出版社:ベスト新書

石川 勝敏    

 読書疲れの方のための息抜きの一冊
この図書は大阪の地名由来、名所旧跡由来について幅広く諸説を紹介している軽快な図書である。難波の八百八橋と形容されるが、江戸時代の大阪の橋の数は約200橋であり、江戸の350橋に比べれば数で自慢できるものではなかった。

 しかし、江戸の橋の大半は幕府の公費で支えられた公儀橋であったが、大阪の公儀橋は12橋で、残りは全て有力商人や地元の町の私費で支えられた町橋、民間橋であった。

 そうした町橋を誇りとして難波の八百八橋と称された。こうした由来を踏査して記述している。石山本願寺から大阪城へ、ミナミ、キタ新地の紹介、堂島の変遷、大阪の三大市場商都の歴史を伝える問屋街、大阪の食い倒れを支えた道具屋筋、難読町名の道修町(どしょうまち)、立売堀(いたちぼり)、放出(はなてん)、聖徳太子建立(593年)の日本最初の官寺四天王寺、阿倍野の庚申堂と阿部清明神社、5世紀に論語と千字文を日本にもたらしたとされる王仁博士のものらしき墓の存在、平安貴族が天空の銀河に見立てた天野川等等である。私は8歳まで大阪市に生まれ育ち、空襲と疎開で大阪を離れた。戦後また大阪舞い戻ったが、大学生時代、サラリーマン時代とも大阪は通過地点であった。しかし、心に残る街である。関東での生活も長くなったが、私はいまだに関西弁が抜けない。大阪弁でよく{ええ女}{そらええ}等と言うが、これは{吉吉}が{ええ}と転化した伝統的な日本語本来の表現であるとの記述に出会い妙に安心した次第である。


『政治と秋刀魚』
著者ジェラルド・カーティス  出版社:日経BP社
 

桜田 薫  

 著者は、コロンビア大学の学生として昭和39年に来日してから、46年の今日まで両国を往復しながら日本の政治を研究してきた政治学者である。自叙伝的な読み物だが、親日家らしい好意的な社会観察と合わせて政治状況について問題指摘がある。例えば現今の世論ともなっている官僚批判と政治主導の問題。55年体制と言われた時代に官僚機構は自民党のシンクタンクであり、政治家は官僚の能力を信じ、官僚も自民党に配慮した。自民党の幹部は党人派と官僚OBの大物政治家がいて、その良好な相互依存中で政治家は政策を官僚に任せて、党内派閥の権力闘争に没頭することもできた。しかし近年、力のある党人派や官僚OBに代わって二世政治家が増えたり、小選挙区制によって主流派に明確に対立する派閥勢力もなくなったり、自民党の構造は変わった。いっぽう、役所権限は次第に弱まり、不祥事もあって官僚のモラールが低下するなど官僚への信頼は薄くなった。だから政治主導が叫ばれるようになったが、それは政治家が官僚の代わりに政策を作るということではないし、政治家にはその能力も無いのが現実だ。手本の米国では上院議員は1人につき50人前後のスタッフを雇っているが、日本では秘書3人を雇う予算しか与えられていない。だから政治家は基本方針を示し、重要法案などについて役所に対する指導力が発揮できればよい。政治家の実力が足りないから、日本では「官僚の反対で政策が実行できない」と言うような恥ずかしいことが起きる。政府と与党の連絡会議というのは他の議会制民主主義国にはない仕組みだ。そこで官邸主導の傾向が生じたが、首相が大統領のようになることは危険である。総理大臣を選ぶのは国会議員であって国民ではないから、最近の風潮である党代表が党の顔になってあたかも国民に選ばれたような錯覚を起こすとポピュリズムに走る弊害が起きる。

 55年体制を支えた国対政治というのは与党の国会対策委員長が裏で(政権党になる見込みがない)野党と飲んだり金を使ったりして取引する政治だった。 民主党が小沢・福田で合意した大連立構想を拒否したのは、古い政治手法と決別して政権奪取を狙う意思の表れとして健全なことだ。国会は政策を承認する場ではなく政策を作る場だから、与野党が国会で真剣に対決して審議の中で合意を形成する努力を示して欲しい。米国人の観察した日本の政治システムの特徴を知ることができる著書である。





ご要望にお応えして、ジャンルを定めない自由評論コーナ ー【私の一言】を設けました。 評論の評論はもとより、社会評論等自由なご意見をお届けします。

『フロム・ナウ・オン』
幸前 成隆

 人生は、これからどうするかが問題。「過ぎたことはいい 大事なことは今日から先」(相田みつを)。「フロム・ナウ・オン」(大屋晋三)。「人生は今日が始まり」(田中真澄)。「毎日、毎日、『今日が始まり』」(石垣綾子)。「いつも今が始まり」(織田五二七)

 人間いくつになっても、常にこれから。「人生の本舞台は、常に将来にある」(小島直紀)。「これからがほんとの勝負。まだまだこれから」(山田恵諦)。「人生に、余生や残生はない」(会津八一)。

 人生は、夢を追い、理想を求めて、一生努力する旅。夢がなくなったら、おしまい。「夢みることをやめた時、その人の青春は終わる」(宮沢次郎)。「望み心に満つれば、人老ゆることなし」(鶴見祐輔)。「自分に打ち込めるものがあるうちは。まだまだ青春期」(平山郁夫)。

 「烈士暮年、壮心やまず」(曹操)。「八十には、八十の夢がある」(関牧翁)。「明日に夢を持て。夢を持つということが、人生においてどんな大切なことか」(松下幸之助)。「夢追い人の生涯でありたい」(西岡光秋)。

 「愛宕山入る日の如くあかあかと燃し尽さん残れる命」(西田幾太郎)。「生きているうち はたらけるうち 日のくれぬうち」(相田みつを)。






 最近の中国の農薬問題等、ともすれば自然に逆らい身勝手なことが多くそのために色々問題を起こしているが多いように思われます。中国の世界観の一つに 天人合一という言葉がありますが、これは、、天と人とは理を媒介にして一つながりだと考えるものであると辞書にはあります。これは俗っぽく言えば、人も自然の一部であるということを示しており、自然の摂理を大切にすることが重要ということ意味するものと思われます。今は天人合一という言葉をもう一度振り返るべき時と思われてなりません。
今号も多様なご寄稿を頂き有難う御座いました。








 
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